売掛金回収に契約書は必要?不良債権の発生を防ぐポイント

業務上の取引では、契約書を作成しておくのが通常です。 しかし、継続的な取引においては、個々の取引に対して契約書を作成しない場合もあるのではないでしょうか。 このような契約書を結んでいない取引で支払遅延が起きた場合、売掛金を回収することはできるのでしょうか?今回は、売掛金の回収と契約書についてお伝えします。
契約書がない場合に証拠となる書類は?
支払いが滞り、交渉しても支払ってもらえない場合、法的手続きを行うことになります。ここで必要なのが、債権者であることを証明する「証拠」です。
個別の契約書がない場合には、他の書類によって債権を証明しなければなりません。
具体的には、以下のようなものがあります。
・基本契約書
継続的取引の場合、初回取引の前に基本契約書を交わしているのが一般的だと思います。この基本契約書が証明になります。
・発注書、納品書、受領書など
発注書や納品書、受領書・検収書、配送伝票控えなども証明する書類となります。
・商業帳簿
法律で作成・保存が義務付けられている売掛金台帳などの商業帳簿があれば証拠となります。
上記以外で署名捺印のないメモなどは法的な証拠としては弱いので、補助程度に考えておきましょう。
債権回収のための契約書作成のポイント

お伝えしたように、契約書がない場合でも別の書類によって債権を証明することは可能です。しかし、契約書があればより有利になるのは間違いありません。 また、あらかじめ契約書を交わしておくことは、不良債権の発生などのトラブルを防止することにも役立ちます。以下のような点に注意して、しっかりと契約書を作成しておくことをおすすめします。 ・取引条件について明瞭に記載する 取引内容と、納期、代金の支払方法、支払期限、与信限度額などについて記載します。 ・特約条項を設ける 手形の不渡りや債務不履行、会社更生法申立、民事再生法申立等の事由があった場合の「期限の利益の喪失」「契約解除」などの旨を特約として定めておくことで、相手先の信用低下があった場合に請求・契約解除を行うことが可能になります。また、支払遅延の際の遅延損害金を約定しておくことも有効です。