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掛け率とは?計算方法と関連用語を解説

掛け率とは?計算方法と関連用語を解説

メーカーや卸売業者、小売業者といった流通業界では、日常的に「掛け率」という言葉を使います。「掛け率」を計算することで、商品の原価や卸値、販売価格などを適切に求めることができるようになります。本記事では、掛け率の意味や計算方法について詳しく解説します。自社製品の価格を適切に設定したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

掛け率とは

掛け率とは、小売業者などが消費者に商品を販売する価格(販売価格)を100%としたときに、メーカーや卸売業者が小売業者に商品を卸す価格(卸値)が何%になるかを示した数値のことです。掛け率を示すときには「〇掛け」という表現もよく使われています。例えば、販売価格10,000円の製品に対して卸値が4,000円となる場合は「4掛け」という形になります。

掛け率を決めるときは、業界の一般的な相場を確認することが重要です。また、掛け率は様々な要素で変動するため、定期的に見直す必要があります。

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掛け率の計算方法と使用例

掛け率の計算は、取引先と商談を行う際に使われるケースが多く見られます。

ここでは掛け率の計算方法と掛け率の使用例について解説します。

掛け率の計算方法

掛け率は、販売価格と仕入れ価格をもとに下記の計算式で求めることができます。

掛け率(%)=(仕入れ価格 ÷ 販売価格)×100

例えば、販売価格が10,000円の商材を5,000円で卸した場合、掛け率は50%という計算になります。掛け率の計算方法はご覧の通り非常にシンプルであり、仕入れ価格と販売価格が分かっていれば簡単に算出することが可能です。商談の現場などでは「この商品は何掛けですか?」といった質問がよくされますが、上記の計算方法を理解することでスムーズに商品の掛け率を回答できます。

掛け率の使用例(卸値の求め方)

掛け率は、卸値を算出するときにも使用されています。卸値とは、メーカーや卸売り業者が小売業者に対して提供する商品の価格のことです。この卸値は、下記の計算式で求めることができます。

卸値=販売価格×掛け率(%)÷100

例えば、販売価格が10,000円の商品の掛け率が50%の場合、卸値は5,000円と算出できます。

掛け率の相場

掛け率の相場は、業界によっておおよその相場は決まっています。しかし、実際の現場では、取引先との関係性やトレンド、仕入れる量などによって掛け率は変動します。商談などの現場で掛け率の交渉を行うときは、取引先との関係性や実績などを考慮したうえで行うようにしましょう。

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掛け率とその関連用語との違い

仕入れに関する専門用語は「掛け率」以外にもたくさんあり、特に卸業者や小売業者などは専門用語の意味について正確に理解する必要があります。ここでは、掛け率に関連する用語の意味について詳しく解説します。

上代と下代

流通業界などでは、「上代(じょうだい)」や「下代(げだい))」などの言葉もよく使われています。

上代とは、製品や商品が最終消費者に販売される際の小売価格を指します。一方で下代は、メーカーや卸売業者が小売業者に対して提供する価格(卸値)のことです。

例えば、上代1,000円の商品の下代が400円の場合、掛け率は40%(4掛け)という形になります。

仕入れ原価率・原価率

仕入れ原価率と原価率は混同されやすい用語ですが、厳密な意味は異なります。

仕入れ原価率とは、小売業者が消費者に対して販売する小売価格に対する卸値の割合のことです。つまり、掛け率と同じ値になります。

一方、原価率とは、商品の販売価格に対する原価の割合のことです。メーカーにとっては商品を作る際にかかるすべての費用が原価となり、小売業者にとっては仕入れにかかった費用=仕入れ値が原価となります。原価率は「原価 ÷ 販売価格 × 100」という計算式で求めることが可能です。

原価率は、ビジネスにおけるコスト構造を理解するために使用されるケースが多いです。原価率が高い場合は利益率が低い状態であり、逆に原価率が低い場合は利益率が高い状態であることを把握できます。

また、原価率の目安は業界ごとに異なります。経済産業省の「2022年の企業活動調査確報-2021年度の実績」によると、製造業、卸売業、小売業のそれぞれの2021年度の原価率の平均は以下の通りになっています。

  • 2021年度の製造業の原価率

製造業の2021年度の売上高は、1企業当たり226億6,160万円で売上原価は180億4,110万円となりました。原価率は下記の計算の通り、約79.6%になります。

226億6,160万円÷180億4,110万円×100=約79.6%

  • 2021年度の卸売業の原価率

卸売業の2021年度の売上高は、1企業当たり391億3,930万円で売上原価は341億10万円となりました。原価率は下記の計算の通り、約87.1%になります。

341億10万円÷391億3,930万円×100=約87.1%

  • 2021年度の小売業の原価率

小売業の2020年度の売上高は、1企業当たり262億9,210万円で売上原価は184億9,230万円となりました。原価率は下記の計算の通り、約70.3になります。

184億9,230万円÷262億9,210万円×100=約70.3%

製造業、卸売業、小売業の原価率を比較すると、小売業の原価率が最も低いことが分かります。ただし、上記は業種別の目安となっているため、実際には企業の経営方針や取り扱っている商材によって原価率は大きく変わるでしょう。

参考

2022年企業活動基本調査確報-2021年度実績-

値入率

商品の販売価格を決めるときには、値入率がよく利用されています。値入率とは、商品の販売価格と仕入れ原価の差分に対する利益の割合を表す数値のことです。値入率はパーセントで表示され、販売価格から仕入れ原価を差し引いた金額を販売価格で割ったものとなっています。以下の計算式で求められます。

値入率=(販売価格 – 仕入れ原価) ÷ 販売価格 × 100

この値入率は商品の価格設定や利益率を計算する際に利用できます。また、ビジネスの収益性を測定する際にも役立つでしょう。

また、値入れ率は「値入れ高」や「粗利益率」などの用語と混同されやすいため注意する必要があります。

値入れ高とは、売価と原価の差額のことを指します。つまり、売価から原価を差し引いた数値が値入れ高ということになります。下記の計算式の違いを押さえておきましょう。

  • 値入率=(販売価格 – 仕入れ原価) ÷ 販売価格 × 100
  • 値入れ高=売価-原価

粗利益率とは、売上高のうちに占める粗利益高の割合のことを指します。値入率は事前に使うものを想定して計算しており、粗利益は結果を受けてから算出されるものとなっています。粗利益率の計算式は以下の通りです。

  • 粗利益率=粗利益高÷売上高

値入れ率と値入れ高、粗利益率は混同されやすいものですが、上記の計算方法を覚えておけばそれぞれの違いを明確に理解できるでしょう。

まとめ

掛け率とは、消費者に商品を販売する価格(販売価格)を100%としたときに、メーカーや卸売業者が小売業者に商品を卸す価格(卸値)が何%になるかを示した数値のことです。

掛け率は、販売価格と仕入れ価格をもとに下記の計算式で求めることができます。

掛け率(%)=(仕入れ価格 ÷ 販売価格)×100

例えば、販売価格が10,000円の商材を5,000円で卸した場合は、掛け率は50%となります。

自社製品の価格を適切に設定したい、利益を最大化したいという場合、掛け率の計算や設定が重要です。また、掛け率を正確に計算できれば、スムーズに商談を進めやすくなるメリットもあります。まずは、今回紹介した掛け率の意味や計算方法、関連用語の意味を正確に理解しておきましょう。