【2026年版】電子帳簿保存法とは?対応チェックリストと電子取引データ保存の要件
近年は業務のデジタル化が進み、請求書や領収書をメールやWebサイトでやり取りする機会が増えています。取引先とのやり取りが電子に移っている企業は、その保存方法に注意が必要です。
2024年1月以降、電子でやり取りした請求書や領収書は、電子帳簿保存法により、電子データのまま保存することが義務付けられています。紙に印刷して保存する方法は認められず、規模や業種を問わずすべての事業者が対象です。
一方で、対応が間に合わない企業に配慮した措置や、検索機能の要件が免除される仕組みも設けられています。自社がどこまで対応すべきかは、売上規模や運用によって変わります。
本記事では、電子帳簿保存法の概要と3つの保存区分を整理したうえで、対応が義務となる電子取引データ保存の要件、要件を満たせない場合の対処、対応しなかった場合のリスク、2027年以降の制度変更まで解説します。
電子帳簿保存法とは?
電子帳簿保存法とは、国税関係の帳簿類や証憑(しょうひょう)類を電子データで保存することを認める法律です。会計帳簿や決算書類、取引の証拠となる証憑書類は、法人の場合は原則7年間(個人事業者は書類の種類により5年または7年)の保存が義務付けられています。
従来は紙での保存が基本だったため、電子データで作成した帳簿をわざわざ印刷して保存する企業が少なくありませんでした。この負担を軽減する観点から1998年に制定されたのが電子帳簿保存法で、その後も社会のデジタル化に合わせて改正が重ねられてきました。
保存の方法は、大きく次の3つの区分に分かれています。
| 区分 | 対象となるもの | 対応 |
|---|---|---|
| 電子取引データ保存 | メールやWebサイトでやり取りした請求書・領収書などの取引情報 | 義務 |
| 電子帳簿等保存 | 会計ソフトなどで、最初の記録段階から一貫して電子的に作成した帳簿・決算関係書類、自社が交付した書類の写し | 任意 |
| スキャナ保存 | 紙で受け取った請求書・領収書などを、スキャナやスマートフォンで読み取った画像データ | 任意 |
対応が義務なのは「電子取引データ保存」だけ
電子帳簿等保存とスキャナ保存は、利用したい事業者が選択する任意の制度です。紙のまま保存し続けても問題はありません。
義務なのは電子取引データ保存だけです。たとえば、ECサイトで購入した際にPDFで受領した領収書を、印刷して紙のファイルに綴じておく、という運用は保存要件を満たしません。データそのものを残しておく必要があります。
対象はすべての事業者
電子取引データ保存の義務は、事業規模や業種を問わず、すべての事業者にかかります。取引先と請求書をメールでやり取りしていれば対象です。
この点で、インボイス制度とは対象の範囲が異なります。適格請求書発行事業者に登録していない事業者にも、電子帳簿保存法の義務は生じます。根拠となる法律も目的も違うため、あわせて整理しておきましょう。
| 電子帳簿保存法 | インボイス制度 | |
|---|---|---|
| 根拠となる法律 | 電子帳簿保存法(法人税法・所得税法に関連) | 消費税法 |
| 目的 | 帳簿・書類をどう保存するかのルール | 買い手が仕入税額控除を受けるための仕組み |
| 対象 | すべての事業者(免税事業者を含む) | 主に課税事業者・適格請求書発行事業者 |
具体的に対象となるのは、次のようなものです。
- ECサイトで購入した際にPDFで受け取った領収書
- メールに添付されて届く請求書・納品書
- ネットバンキングやクレジットカードのWeb明細
- 電子契約サービスで締結した契約書
- 取引先のWebサイトからダウンロードする請求書
電子で授受した適格請求書については、消費税法上の保存義務と電子帳簿保存法の電子取引データ保存が同時にかかります。インボイス制度への対応を進めた企業ほど、電子で扱う証憑が増えている点に注意が必要です。
(出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」)
関連記事:インボイス8割控除は2026年9月末まで|経過措置と請求業務への対応
電子保存できる書類と保存期間
電子帳簿保存法において電子保存が認められているのは、以下の帳簿・決算関係書類・証憑書類です。
| 区分 | 該当する書類 |
|---|---|
| 帳簿 | 総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、経費帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上・仕入帳など |
| 決算関係書類 | 貸借対照表、損益計算書、棚卸表、その他の決算に関係する書類 |
| 証憑書類 | 契約書、契約書の写し、領収書、請求書、見積書、注文書、納品書、検収書、契約の申込書、レシートなど |
※ 上記のうち、スキャナ保存が認められているのは証憑書類のみです。
※ 手書きで作成した帳簿や決算関係書類は、電子帳簿等保存の対象になりません。
保存期間は法人が原則7年
保存期間は法人と個人事業者で異なります。
| 区分 | 保存期間 |
|---|---|
| 法人 | 原則7年。欠損金額が生じた事業年度は10年 |
| 個人事業者(青色申告) | 帳簿・決算関係書類・現金預金取引等関係書類は7年、請求書や見積書などその他の書類は5年 |
(出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」問17)
電子取引データ保存で満たすべき2つの要件

電子取引データを保存する際は、「真実性の確保」と「可視性の確保」の2つを満たす必要があります。それぞれ具体的に見ていきます。
真実性の確保は4つの方法から選べる
データが改ざんされていないことを担保するための要件です。次の4つのうち、いずれか1つを満たせば足ります。
- タイムスタンプが付された後にデータを受け取る
- データを受け取った後、速やかにタイムスタンプを付す
- 訂正・削除の記録が残るシステム、または訂正・削除ができないシステムで、データの授受および保存を行う
- 正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用し、備え付ける
システムを導入していない企業がまず検討すべきは、4つ目の事務処理規程です。国税庁がサンプルを公開しているため、自社の体制に合わせて修正すれば対応できます。追加のコストをかけずに真実性の要件を満たせる方法として、最も現実的な選択肢です。
なお、タイムスタンプは時刻認証とも呼ばれ、ある時刻にその電子データが存在していたこと、その時刻以降に改ざんされていないことを証明するものです。
可視性の確保で求められること
保存したデータを、必要なときに確認・出力できる状態にしておくための要件です。
- 見読可能装置の備付け|パソコン、ディスプレイ、プリンタとその操作説明書を備え付け、整然とした形式かつ明瞭な状態で画面や書面に出力できること
- システム概要書等の備付け|自社開発のプログラムを使用する場合に限り、システムの概要を記載した書類を備え付けること
- 検索機能の確保|次項のとおり
検索機能の条件と、不要になるケース
検索機能として求められるのは、次の3つです。
① 取引年月日その他の日付・取引金額・取引先を検索条件として設定できる
② 日付または金額について、範囲を指定して条件設定できる
③ 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて条件設定できる
ただし、この3つがすべて必要になるとは限りません。「税務職員によるデータのダウンロードの求めに応じられるようにしている」かどうかを起点に、必要な範囲が変わります。
| 自社の状況 | 必要な検索機能 |
|---|---|
| ダウンロードの求めに応じられない | ①②③のすべてが必要 |
| ダウンロードの求めに応じられる | ①のみ必要 |
| ダウンロードの求めに応じられ、かつ基準期間の売上高が5,000万円以下 | 不要 |
| ダウンロードの求めに応じられ、かつ出力書面を日付・取引先ごとに整理して提示できる | 不要 |
売上高の条件と出力書面の条件は、並列の選択肢です。売上高が5,000万円を超える企業でも、書面を整理して提示できるようにしていれば検索機能は不要になります。なお、基準期間とは法人は前々事業年度、個人事業者は前々年を指します。
2022年1月の改正では、①の検索項目が「取引年月日・取引金額・取引先」の3つに限定されたことがポイントとされていました。しかしその後さらに緩和され、いまでは多くの中小企業で検索機能そのものが不要になっています。この緩和は令和5年度税制改正によるもので、2024年1月1日以後にやり取りする電子取引データから適用されています。改正前の売上高基準は1,000万円以下だったため、対象となる企業の範囲が大きく広がりました。
ただし、ダウンロードの求めに一部でも応じられない場合は、いずれの緩和も受けられません。
(出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」/「電子帳簿保存法の内容が改正されました」)
保存要件を満たせない場合の「猶予措置」
電子取引データ保存の義務化にあたっては、対応が間に合わない企業に配慮した措置が設けられています。さらに、2024年1月に内容が大きく変わりました。
宥恕措置は2023年12月31日で終了
2023年12月31日までは、やむを得ない事情があり、かつ整然とした形式および明瞭な状態で出力した書面を準備しておく場合に限り、紙での保存を認める「宥恕(ゆうじょ)措置」がありました。この措置はすでに終了しています。
2024年1月以降は「猶予措置」に移行
代わって2024年1月1日以降は、猶予措置が設けられています。次のすべてを満たす場合、保存要件にかかわらず電子データを保存できます。
- 保存要件に従って保存できなかったことについて、所轄税務署長が「相当の理由」があると認めること
- 税務職員からのデータのダウンロードの求めに応じられるようにしていること
- そのデータを整然とした形式かつ明瞭な状態で出力した書面の提示・提出の求めに応じられるようにしていること
事前の申請や届出は不要です。また、宥恕措置と異なり適用期限も定められていません。
| 宥恕措置(2022年1月〜2023年12月) | 猶予措置(2024年1月以降) | |
|---|---|---|
| 認められる事由 | やむを得ない事情 | 相当の理由(所轄税務署長が認定) |
| 電子データの保存 | 実質的に免除され、出力書面のみで足りた | 電子データの保存は必須。書面のみは不可 |
| ダウンロードの求め | 不要 | 必須 |
| 出力書面の提示・提出 | 必要 | 必要 |
| 事前申請 | 不要 | 不要 |
| 適用期限 | 2023年12月31日で終了 | 定めなし |
最も重要な違いは、猶予措置では電子データの保存そのものが必須という点です。「紙に印刷しているから大丈夫」という運用は、猶予措置でも認められません。
「相当の理由」に該当する例
国税庁の取扱通達では、「相当の理由」の例として、システムや社内のワークフローの整備が間に合わない場合などが挙げられています。人手不足や資金不足といった事情も、実情に応じて判断されます。
逆に、要件どおり保存できる環境が整っているにもかかわらず保存していない場合は、該当しません。あくまで対応が整うまでの措置であり、恒久的に紙だけで運用できる制度ではない点に注意してください。
(出典:国税庁「電子帳簿保存法取扱通達」7-12/「令和6年1月からの電子取引データの保存方法」)
任意で選べるスキャナ保存と電子帳簿等保存
電子取引データ保存が義務である一方、スキャナ保存と電子帳簿等保存は任意です。対応しなくても違反にはなりません。
ただ、紙とデータで保存方法が分かれていると、証憑ごとに保存先を判断する手間が残ります。紙で受け取った書類もスキャナ保存に寄せてしまえば、保存先を一元化でき、書類を探す手間や紛失・劣化のリスクも減らせます。
スキャナ保存
スキャナ保存は、決算関係書類を除く国税関係書類(取引先から受領した領収書・請求書など)について、紙の原本を保存する代わりに、スマートフォンやスキャナで読み取ったデータを保存できる制度です。
2022年1月に税務署長の事前承認制度が廃止され、要件を満たすスキャナなどが用意できればすぐに始められるようになりました。あわせて適正事務処理の要件(社内規程の整備、相互けん制、定期検査)も廃止され、原本をスキャン後すぐに廃棄できるほか、1人で事務処理を行えます。
さらに令和5年度税制改正で、解像度・階調・大きさに関する情報の保存と入力者等情報の確認が不要になり、帳簿との相互関連性の確保も重要書類のみに限定されました(2024年1月1日以後にスキャナ保存を行う書類から適用)。
要件は、資金や物の流れに直結する「重要書類」と、直結しない「一般書類」で異なります。
| 重要書類 | 一般書類 | |
|---|---|---|
| 具体例 | 契約書、領収書、請求書、納品書、送り状、預金通帳、小切手、約束手形 | 見積書、注文書、検収書、入庫報告書、納品書の写し |
| 入力期間 | 速やかに(おおむね7営業日以内)、または業務処理サイクル後速やかに(最長2か月とおおむね7営業日以内) | 制限なし(適時入力が可能) |
| 読み取り | 200dpi以上・カラー256階調以上 | 200dpi以上・グレースケールでも可 |
| 帳簿との相互関連性 | 必要 | 不要 |
※ 一般書類を適時入力方式で保存する場合は、事務の手続を明らかにした書類の備付けが必要です。
なお、タイムスタンプの付与期限は入力期間と同じです。訂正・削除の履歴が残るシステムで保存する場合は、タイムスタンプ自体が不要になります。
(出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」/「電子帳簿保存法の内容が改正されました」)
電子帳簿等保存
電子帳簿等保存は、会計ソフトなどで最初から一貫して電子的に作成している帳簿・書類を、データのまま保存できる制度です。こちらも2022年1月から事前承認が不要になりました。
このうち、訂正・削除の履歴の確保、帳簿間の相互関連性の確保、検索機能の確保という3つを満たす帳簿は「優良な電子帳簿」として扱われます。あらかじめ届出書を提出しておくことで、過少申告加算税が5%軽減されます(隠蔽・仮装があった部分は対象外)。
この「優良な電子帳簿」は、次章のデジタルシームレス保存の要件としても登場します。
(出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】」)
対応しなかった場合のリスク

保存要件に従った保存ができていない場合、次のような不利益が生じる可能性があります。
① 重加算税が10%加重される
スキャナ保存や電子取引のデータに記録された事項について、隠蔽または仮装された事実にもとづく申告漏れがあった場合、通常の重加算税(過少申告35%、無申告40%)に10%が上乗せされます。
② 青色申告の承認が取り消される可能性がある
保存義務に従っていない場合、青色申告の承認取消しの対象になり得ます。ただし国税庁は、直ちに取消しとなるものではなく、違反の程度やその他の事情を考慮して判断するとしています。電子データ以外から取引の事実が確認できる場合などが考慮されます。
③ 会社法上の過料の対象になることがある
帳簿や書類に記載・記録をしなかった場合、または虚偽の記載・記録をした場合、会社法により100万円以下の過料に処せられることがあります。
いずれも、要件を1つ満たしていないだけで直ちに課されるものではありません。ただし、電子で受け取った証憑を電子のまま保存していない状態が続けば、税務調査で指摘を受ける可能性は高くなります。
(出典:電子帳簿保存法第8条第5項/会社法第976条/国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」問98)
2027年に向けて知っておきたい「デジタルシームレス保存」
電子取引データ保存の要件そのものは、2024年1月以降大きく変わっていません。一方で、その先に向けた新しい制度が動き始めています。令和7年度税制改正で新設された「デジタルシームレス保存」です。
請求書などの電子取引データを、人が手入力するのではなくシステムが自動で取り込んで保存し、そのまま帳簿へ自動連携する仕組みを指します。
要件と対象データ
デジタルシームレス保存として認められるには、次の3つを満たす必要があります。
- 改ざん防止(訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除ができないシステムで授受・保存する)
- 記帳の適正性(データの金額を訂正・削除した上で電子帳簿に記録することができないこと)
- 電子帳簿との相互関連性の確保
対象となるデータは「特定電磁的記録」に限定されており、デジタルインボイス(JP PINT等)や預貯金口座の決済データなどが指定されています。つまり、PDFの請求書をシステムに保存しているだけでは、この制度の要件は満たしません。
また、優良な電子帳簿と同じく、適用にはあらかじめ届出書の提出が必要です。
いつから、誰に影響があるか
| 制度変更 | 内容 | 対象 | 適用開始 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 重加算税10%加重の適用除外 | デジタルシームレス保存に係るデータに関連する隠蔽・仮装は、重加算税の10%加重の対象外になる(あらかじめ届出書の提出が必要) | 法人・個人 | 令和9年(2027年)1月1日以後に法定申告期限が到来する国税 | 令和7年度税制改正 |
| 青色申告特別控除75万円の新設 | 65万円控除の要件に加え、優良な電子帳簿またはデジタルシームレス保存を行うことで75万円に | 個人事業主 | 令和9年分(2027年分)以後 | 令和8年度税制改正 |
| 55万円控除の廃止 | 55万円の区分を廃止し、期限内のe-Tax送信を要件に加えて65万円に | 個人事業主 | 令和9年分(2027年分)以後 | 令和8年度税制改正 |
青色申告特別控除は個人事業主の制度なので、法人には直接関係ありません。しかし重加算税10%加重の適用除外は法人も対象です。
制度の方向性としては、「電子で保存する」段階から「データを手入力せずに帳簿へ自動連携する」段階へと、優遇の条件が移りつつあります。請求・支払まわりのデータをどう連携させるかは、いまのうちに設計しておく価値があります。
※ デジタルシームレス保存の詳細や適用要件は、今後の通達等で明確化される部分があります。
(出典:国税庁「令和7年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要」/財務省「令和8年度税制改正」)
電子帳簿保存法への対応チェックリスト
対応が必要なのは次の6項目です。自社の状況を確認したうえで、できていない項目の解説を読んでください。
□ ① 電子で授受している証憑を部門横断で洗い出した
□ ② 真実性の確保をどの方法で満たすか決めた
□ ③ 検索要件の対応方針を決めた
□ ④ 保存場所とファイル名のルールを決め、社内に周知した
□ ⑤ 要件を満たせない場合、猶予措置の適用を検討した
□ ⑥ 自社が発行した請求書の控えも電子で保存している
① 電子でやり取りしている書類を洗い出す
まず、自社が電子で授受している証憑を棚卸しします。対象になるものは前掲の一覧のとおりです。経理を通さずに現場が直接ダウンロードしているWeb明細や、営業部門が個別に使っている電子契約サービスは漏れやすいので、部門ごとに確認しておくと漏れを防げます。
② 真実性の確保をどの方法で満たすか決める
訂正・削除の記録が残るシステムを使うか、事務処理規程を整備するかを決めます。規程で対応する場合は、前述の国税庁サンプルをもとに作成し、備え付けまで行いましょう。
③ 検索要件をどう満たすか決める
基準期間の売上高が5,000万円以下であれば、ダウンロードの求めに応じられることを前提に、検索機能は不要です。該当しない場合は、システムの検索機能を使うか、「20260401_○○商事_110000」のようなファイル名のルールを決め、必要に応じて索引簿を作成して対応します。
④ 保存場所とファイル名のルールを決めて周知する
保存先が部門ごとにバラバラだと、税務調査の際に提示できません。保存場所を一元化し、命名ルールを決めて、経理以外の部門にも周知することが重要です。要件を満たすシステムを導入していても、データがそこに集まっていなければ意味がありません。
⑤ 要件を満たせない場合は猶予措置の適用を検討する
猶予措置は事前申請が不要な一方、電子データの保存とダウンロードへの対応は必須です。まずは、受け取った電子データを消さずに残す運用から始めてください。
⑥ 発行側の控えの保存も確認する
電子取引データの保存義務は、請求書を受け取る側と発行する側の双方に生じます。見落としやすいのは、自社が発行する側になるケースです。請求書をPDFでメール送付している場合や、取引先がWebから請求書をダウンロードする仕組みになっている場合、それは電子取引にあたります。受け取る側だけでなく、発行側にも控え(写し)を電子データで保存する義務が生じます。
(出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」/「参考資料(各種規程等のサンプル)」)
請求業務の電子化から進めるなら「Paid(ペイド)」
請求書を電子で発行するほど、控えのデータを自社で保存し、検索できる形に整える必要が出てきます。その発行と保存をまとめて任せられるのが、企業間決済サービスの「Paid(ペイド)」です。

発行した帳票は10年間保存される
Paidでは、発行した帳票が管理画面に自動で保存されます。対象となる帳票は次のとおりです。
- インボイス帳票(適格請求書)
- 請求書
- 口座振替通知書
- コンビニ払込票通知書
これらの帳票は電子帳簿保存法に対応しており、発行から10年間保存されます。利用規約第28条にも、インボイス帳票および締め処理で発行する請求書を税法および電子帳簿保存法に基づき10年間保存する旨が定められています。
必要なときにいつでもPDFでダウンロードできるため、自社で保存先やファイル名のルールを設計する必要もありません。
保存義務は、請求書を受け取る側にも生じます。そのため、取引先から請求書データの送付を依頼されることがあります。Paidでは取引先も自身のマイページから同じ帳票をダウンロードできるので、こうしたやり取りも発生しません。
(出典:Paid「よくあるご質問」/Paid「利用規約」第28条)
適格請求書の控えの保存もまとめて対応
適格請求書発行事業者の場合、電子で交付した適格請求書には、消費税法上の写しの保存義務と電子帳簿保存法の電子取引データ保存が同時にかかります。
無料の「インボイスオプション」を利用すると、Paidが自社に代わって、適格請求書として使える「インボイス帳票」を取引先ごとに発行します。発行した帳票は管理画面に自動で保存されるため、2つの制度への対応を同じ仕組みの中で済ませられます。
[内部リンク:インボイス制度の基礎解説記事(No.7)]
請求業務そのものも効率化できる
Paidは、請求書発行から代金回収までの請求業務を代行するサービスです。与信審査、請求書発行、入金管理、督促までをPaidが代行するため、経理業務の負担を大幅に削減できます。
必要な作業は、取引先と請求情報の登録だけです。基幹システムとのAPI連携も可能で、顧客データや注文データを自動送信すれば、この登録作業も自動化できます。さらに、取引先が支払わなかった場合の代金はPaidが保証するため、未回収リスクを負わずに済みます。
Paidの導入で請求業務が効率化した事例
実際にPaidのサービスを導入して、請求業務が効率化した事例を紹介します。
| 導入企業 | 三菱自動車工業株式会社 |
|---|---|
| サービス内容 | 電動自動車・プラグインハイブリッド車のユーザー向けサポートプログラム「三菱自動車 電動車両サポート」 |
| 業種 | アパレル・雑貨 |
三菱自動車工業株式会社では、「三菱自動車 電動車両サポート」のサービスをスタートするにあたり、法人向けの掛売りに対応できる決済手段を探していたことがPaid導入のきっかけでした。
【Paid導入前の課題】
新サービスの立ち上げにあたり、法人会員はクレジットカードを所有しているケースが少ないことから、掛売りに対応できる決済代行サービスの導入が不可欠でした。数千件の請求や回収、フォローを自社で行うのは、人員体制の面から難しい状況でした。
【Paid導入後の効果】
Paidの導入によって、法人向けに紙の請求書の作成や郵送を行う業務が不要となったため、業務の効率化を実現できました。支払方法を銀行振込と口座引落を選択できるため、取引先の利便性の向上にもつながっています。
関連記事:信頼、スピード、効率の3つを叶えるパートナーが必要でした~三菱自動車工業株式会社
▶ Paidの資料請求・お問い合わせはこちら
まずは証憑の洗い出しと事務処理規程から
電子帳簿保存法のうち、対応が義務なのは電子取引データ保存です。メールやWebでやり取りした請求書・領収書は、電子データのまま保存しなければなりません。これは適格請求書発行事業者かどうかを問わず、すべての事業者に共通する義務です。
保存にあたっては真実性の確保と可視性の確保が必要ですが、税務職員のダウンロードの求めに応じられることを前提に、基準期間の売上高が5,000万円以下であれば検索機能は不要です。要件を満たせない場合も、猶予措置により電子データの保存とダウンロードへの対応ができていれば、保存要件にかかわらず保存が認められます。
また、2027年からはデジタルシームレス保存という新しい枠組みが動き出します。「電子で保存する」ことから「データを帳簿へ自動連携する」ことへと、制度が求める水準は上がっていきます。
まず着手すべきは、電子で受け取っている証憑の洗い出しと、事務処理規程の備え付けです。この2つはコストをかけずに進められます。そのうえで、検索要件と保存場所のルールを固めていきましょう。
なお、本記事は一般的な内容を扱っています。実際の運用にあたっては、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。
監修者
大橋 正人
株式会社ラクーンフィナンシャル 執行役員 Paid推進部長
2006年に株式会社ラクーン(現:ラクーンホールディングス)に入社。経営企画室にて卸サイト「スーパーデリバリー」のマーケティング担当として従事。2009年より小売店の審査部門の責任者を経て、2010年「決済サービスPaid(ペイド)」の立ち上げに参画。2019年からラクーンフィナンシャルが提供する「Paid」と「URIHO」の2つのサービスをマーケティング面から統括。2024年からはPaidの事業責任者として、企業の請求業務・決済まわりの課題解決に向けて活動している。
主な掲載・登壇実績
・SFA JOURNAL|掛け払い・請求代行サービス「Paid」インタビュー(2025年)
・ECのミカタ|企業間後払い決済サービス「Paid」インタビュー(2023年)
・日本ネット経済新聞(日流ウェブ)|早期資金化サービス「Paid早期払い」対談インタビュー(2019年)
・ビズスタ|登壇者プロフィール
