請求書の日付はいつが正しい?決め方のルールや書き方を解説
請求書には日付の記載が求められます。いつの日付を記載するのが正しいのかを理解して対応しないと、期日までに支払ってもらえなかったり、取引先の信頼を損なったりする可能性があります。発行日や支払期限などの基本的なルールを理解することはもちろん、最近では電子請求書やインボイス制度への対応も必要です。本記事では、請求書の日付の正しい設定方法や書き方を解説します。
目次
請求書に発行日が必要な理由
請求書に記載する日付は、一般的に「発行日」です。発行日は、取引先に対して代金の支払いを請求する正式な意思表示を行った日とみなされます。このため、発行日を基準に「債務が確定」し、取引先は支払い義務を負うことになります。適切に発行日を記載しないと、債務確定が曖昧になり、法的効力が不十分になるリスクがあります。
時効期間の起算点となる
日本の民法では、金銭債務の消滅時効期間が定められており、時効の起算点は「債務が履行可能となった時」から計算されます。この「履行可能な時点」を明確にするため、請求書の発行日が基準として用いられることが多いのです。たとえば、発行日を記載していない場合、時効の起算点が不明瞭になり、請求権を主張する際に不利になる可能性があります。
取引先とのトラブルを防止する
発行日は、取引先との合意や契約内容に重要な日付です。発行日を基準にして、支払期限や取引条件を定義することが一般的です。この日付が曖昧だと、取引先が支払い期日を誤解したり、請求書が有効であるか否かを疑うなど、トラブルの原因になります。発行日を正確に記載することで、双方の合意内容を明確化し、余計なトラブルを未然に防ぐことができます。
請求書発行日の決定方法
請求書発行日の決定方法には、「掛売方式」と「都度方式」という2つの主な取引形態に応じた違いがあります。それぞれの特徴と請求書発行日にどのような影響を及ぼすかを解説します。
掛売方式の場合
掛売方式とは、商品やサービスを提供した時点で代金を即座に受け取らず、一定の支払いサイト(期間)を設けた後に請求書を発行し、取引先に支払いを求める取引形態です。掛売方式では、請求書の発行日は取引のタイミングではなく、締め日にもとづいて決定されます。締め日とは、一定期間内の取引をまとめて精算する日を指します。
一定期間内に行われた複数の取引に対する請求が1枚の請求書にまとめられるため、双方の経理業務が効率化されるというのがメリットです。
締め日が毎月末の場合、発行日は翌月1日や5日などが一般的です。締め日が月中(15日)の場合は、発行日は16日や17日が設定されることが多いです。
都度方式の場合
都度方式とは、取引が発生するたびに請求書を発行し、その都度支払いを求める取引形態です。小規模な取引や単発の契約でよく用いられます。都度方式では、請求書の発行日は基本的に商品やサービスの提供(納品)日にもとづいて決定されます。提供後すぐに請求書を発行するため、締め日などは設定されません。
取引ごとに精算するため、経理処理が単純で分かりやすく、柔軟に対応しやすいのがメリットですが、複数の請求書を発行するため管理業務が煩雑になりやすいというデメリットもあります。
前払金や着手金の場合
前払金や着手金は、取引開始前に請求することが多いため、請求書の発行日は契約締結日や支払条件が合意された日を基準とします。契約書や取引条件で「前払金を○日までに支払う」と定めている場合、その期日に間に合うように発行するのが一般的です。
請求書発行が遅れると、支払いが遅れる可能性があります。特に前払金は、資金調達や業務開始に必要な金額であるため、取引開始前の十分な余裕を持って発行することが重要です。たとえば1月15日までに着手金を支払ってもらう場合、1月1日~1月10日ごろに請求書を発行するのが一般的です。
前払金や着手金の請求書発行は、通常の後払い取引よりも発行タイミングが早くなるため、取引条件や契約内容を十分に確認し、適切な日付で請求書を発行することが重要です。
その他の請求書に記載すべき「日付」の種類
請求書には複数の「日付」を記載する場合があります。それぞれの意味を理解し、適切に記載することが重要です。
- 発行日
請求書が作成・発行された日を指します。取引の証拠として明記が必要で、多くの場合、この日付を基準に支払期限が設定されます。
- 取引日
実際に取引が行われた日付です。発行日と異なる場合も多く、特に商品やサービスの提供日を記録として残すために必要です。
- 支払期限
請求書にもとづいて取引先が支払いを行うべき最終日です。支払条件を明確にし、トラブルを防ぐために記載が推奨されます。
支払期限の設定方法
支払期限は取引相手にとって重要な情報であり、適切に設定することが求められます。
- 基本ルールを理解する
支払期限は「発行日から30日後」や「翌月末」など、業界や取引の慣例にもとづいて設定されることが一般的です。具体的な期日を明記することで、支払い遅延を防ぎます。
- 取引先との合意を確認
支払条件は、事前の契約や見積書で取り決めることが重要です。一方的な設定は、相手先とのトラブルを引き起こす可能性があります。
- 柔軟性を持たせる
特殊な事情がある場合、支払期限を延長するケースもあります。この際は、期限変更の根拠を明示し、文書で合意を取ることが必要です。
日付記載に関する税務上の注意点
適格請求書では、発行日が必須項目です。また、取引ごとの日付が記載されていないと、税務上の控除を受けられない可能性があります。また発行日が曖昧な場合、税務調査で取引の信憑性が疑われることがあります。正確な日付を記載することで、こうしたリスクを回避できます。
電子帳簿保存法の下では、日付情報が適切に保存されているかが確認されます。デジタル保存時には、改ざん防止機能が求められるため、システムの選択が重要です。
電子請求書と日付の管理におけるポイント
電子帳簿保存法にもとづき、電子請求書の保存時には日付が正確で改ざんされていないことが求められます。特に、発行日と取引日の両方が明確に記載されていることが条件となります。保存された日付データが改ざんされていないことを証明するための措置として、タイムスタンプの付与やシステムでの自動記録機能などが必要です。
また、請求書は7年間保存する必要があります。電子形式の場合でも、この期間内は正確に日付を保持した状態で管理しなければなりません。
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まとめ
請求書の日付管理は、取引先との信頼関係を築き、税務や業務運営の円滑化に欠かせない重要な要素です。発行日や支払期限を正確に記載することで、トラブルを防ぎ、法的な要件にも適合することができます。特に、電子請求書やインボイス制度に対応するための正確な日付管理は、今後ますます重要性を増していきます。日付の取り扱いに関する基本的なルールを理解し、適切に運用することで、請求書作成業務を効率化し、企業の信頼性を高めることができます。
適切な日付管理を行うことで、業務の透明性を確保し、税務調査の際にも問題が起こらないように備えることができるので、常に正確な情報を提供することを心掛けましょう。