カテゴリ:BtoB EC

EDIとは?導入のメリットとBtoB ECとの違いもあわせて解説

EDIとは?導入のメリットとBtoB ECとの違いもあわせて解説

EDI(Electronic Data Interchange)は、企業間取引をデジタル化し効率化するための重要なシステムです。専用の回路やインターネットを介して取引情報をやり取りすることで、紙の書類を用いることなく、迅速かつ正確にデータを伝達することが可能となります。この記事では、EDIの基本概念、種類、そして導入によるメリットとデメリットについて詳しく解説します。

EDIとは?

EDI(Electronic Data Interchange)とは、取引で発生するメッセージや帳票を、専用の回路やインターネットを介してやり取りする仕組みやシステムを指します。直訳すると「電子情報の交換」です。

EDIを利用すれば、管理システムに直接データを入力するだけで情報の伝達が完了します。そのため、書類の印刷や郵送をしなくても情報をやり取りできます。取引先とのやり取りが減るだけでなく、情報の入出力作業を削減できるため、業務効率化が図れます。

現在は固定電話網を利用したEDIが主流ですが、固定電話網の廃止やコストの問題から、2024年からはIP化が進んでいくと考えられています。

関連記事:受注管理システムとは?主な機能や特徴、導入のメリットを解説

EDIの種類

EDIには、以下の3つの種類があります。

  • 個別EDI
  • 標準EDI
  • 業界VAN(標準EDI)
  • Web-EDI

それぞれにメリットやデメリットがありますが、どのように使い分ければよいのでしょうか。

 個別EDI

個別EDIとは、取引先ごとに通信方式やフォーマットが決まっているEDIのことです。汎用性は低いですが、識別コードやルールを細かく設定できるため、取引先に最適化したやり取りができます。

しかし、企業ごとにフォーマットやルールを作らなければならないため、複数企業とやり取りをしている企業には向いていません。取引先が増えるたびにフォーマットが増えるため、多くの企業とやり取りをする場合は、他のEDIを利用した方が良いでしょう。

 標準EDI

標準EDIとは、通信方式やフォーマットが標準化されたEDIです。例えば、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会が公開している「中小企業共通EDI」などが挙げられます。

標準EDIを利用すれば、フォーマットやルールを統一できるため、複数の企業とやり取りをしていても同じ方式でデータをやり取りできます。取引先ごとにカスタマイズできないというデメリットはありますが、複数の企業とやり取りがある場合は、標準EDIが向いています。

 業界VAN(標準EDI)

業界VANは、特定の業界に特化したEDIです。業界によって標準化されているため、標準EDIの一種と考えることもできます。業界VANの利用率が高い業界で用いれば、取引が円滑になるかもしれません。

しかし、特定の業界で多く用いられていても、別の業界の企業と取引をする場合は、別のフォーマットを利用しなければならないかもしれません。多くの業界と取引がある企業は、より汎用性の高い標準EDIの方が向いているでしょう。

Web-EDI

Web-EDIとは、Webブラウザでやり取りするEDIです。Webサーバー上にシステムを構築できるため、手軽かつ低コストという特徴を持っています。優れた特徴や2024年問題から、Web-EDIを選択する企業が増えています。

2024年問題とは、NTTが電話回線を利用したデジタル技術を廃止することに伴い、該当の技術を利用している企業が業務上の悪影響を被るという問題です。これにより、固定電話網を用いたEDIを利用している企業は、新システムへの移行を迫られています。

これからEDIを導入する企業は、2024年問題の影響を受けないよう、初めからWeb-EDIを選んでおくと、より長い期間同じシステムを利用できるでしょう。

EDI導入のメリット

EDIを導入することで、企業は以下のようなメリットを得ることができます。

  • 企業間取引の手間削減
  • 人的ミスの削減と顧客対応の質向上
  • ペーパーレス化の推進

企業間取引の手間削減

EDIを導入することで、取引で発生する事務作業を削減できます。EDIを用いれば、システムに打ち込むだけでデータの共有ができるため、以下のような業務が削減できます。

  • 紙の帳票の作成
  • 取引先に応じたデータの整理
  • 取引先への郵送
  • メールの送信

また、標準EDIを利用すれば、すべての企業を同じ形式で管理できるため、企業ごとにデータのルールを覚える必要がなくなります。情報の一元管理が容易になるうえ、作業スピードの向上も期待できるでしょう。

人的ミスの削減と顧客対応の質向上

EDIを活用すれば、一度のデータ入力だけで情報のやり取りが可能です。一方、郵送やメールを用いた情報伝達では、データ入力に加えてファイルの添付やデータの写し作業が発生します。

データを何度も触ることになると、その過程でミスが生じる可能性が高くなり、誤った情報の伝達につながります。また、作業工程が増えれば、その分取引先に情報を伝える速度が遅くなります。EDIを導入すれば、より正確に早く情報を伝えることができるようになるでしょう。

ペーパーレス化の推進

EDIを活用すれば、紙を使用することなく取引先に情報を伝えられます。EDIの導入は、ペーパーレス化を推進し、紙代や印刷代、郵送代の削減につなげられるでしょう。

また、データをインターネット上でやり取りできれば、リモートワークや帳簿の電子保存がしやすくなります。加えて、電子帳簿保存法により、電子取引を行った場合は電子データで書類を保存することが義務付けられていますが、EDIを導入すればその対応も容易になるでしょう。

EDI導入におけるデメリット

EDIの導入には多くのメリットがありますが、いくつかデメリットもあります。

  • 標準化の課題
  • 導入コストと時間
  • 取引関係の変化

標準化の課題

EDIを導入する際には、フォーマットやルールを標準化する必要があります。導入後のデータは管理しやすくなりますが、既存のデータがそのフォーマットに従うとは限らないため、導入前と導入後でデータの管理方法が変わる可能性があります。

また、標準化することにより、データの入力方式は少なからず変化すると考えられます。独自の情報や特殊な取引内容を反映するには、カスタマイズが必要な場合もあるため、注意が必要です。

導入コストと時間

EDIを導入するには、システム料金や移行に対応するためのコストがかかります。導入する前に、かけたコスト以上のメリットを享受できるかどうかを確かめるようにしてみてください。

また、EDIは自社だけでなく取引先も利用するシステムです。取引先がEDIを拒否すれば利用できないので、合意を得てから導入しましょう。また、自社の従業員も利用するシステムですので、使い方や導入の経緯は時間をしっかり取って説明するようにしてください。

取引関係の変化

EDIを導入している企業は、業務効率化のためにEDIを利用している企業と取引したいと思うでしょう。そのため、EDIを導入していない企業は、取引先の選定において不利益を被る可能性があります。

DX推進やIoT化が進むいま、EDIのようなデジタル技術は普及していくと考えられます。その中でデジタル化に対応していない企業と取引をするのは、非効率な業務が増えるため、生産性の低下につながります。取引先の企業と良好な関係を構築するためにも、EDIの導入は必須になるかもしれません。

EDIとEOSの違い

EOS(Electronic Ordering System)は電子発注システムのことで、発注業務を効率化するシステムです。主に小売店や量販店などで用いられており、インターネット経由で発注情報をやり取りできます。

EDIとEOSの違いは、業務効率化を適用できる範囲です。EOSは発注に関するやり取りを効率化しますが、EDIは取引全体のやり取りを効率化します。とはいえ、やり取りを効率化するという目的は同じであるため、EOSはEDIの一部といえるでしょう。

EDIとBtoB EC

EDIとよく混同される言葉に、BtoB ECがあります。どのような違いがあり、どちらを導入すべきなのでしょうか。

EDIとBtoB ECとの違い

BtoB ECは、企業が企業に向けて展開するECのことです。EDIもBtoB ECも企業と企業が取引するために利用するシステムですが、目的が異なります。

EDIは、取引に関するやり取りを効率化するために導入されますが、BtoB ECは業務販路の拡大や受発注の効率化を図るために導入されます。もちろん、BtoB ECはインターネット上で行われるため、やり取りを電子化して効率化することも可能です。また、BtoB ECはWeb環境さえあれば取引できるため、取引先のシステムを選ばないというメリットもあります。

BtoB ECを構築すべき理由

前述の通り、BtoB ECを活用すれば、業務効率化だけでなく営業活動の強化にもつなげられます。取引先のシステムに関わらず取引できるため、実質は全ての企業と取引が可能になります。BtoB ECの市場は年々拡大しており、デジタル化に伴ってBtoB ECが企業間取引のスタンダードになるかもしれません。

とはいえ、取引先が多い企業にとっては、やり取りを標準化して効率化できるEDIも欠かせない存在になるでしょう。自社の課題を解決できるシステムはどちらかを考え、導入してみてください。場合によっては、EDIとBtoB ECを併用し、業務効率化を図ることも可能です。

BtoB ECでできることや、構築方法は以下の記事で解説しています。どちらを導入すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:【BtoB EC】とは?~市場規模やメリット・デメリット・BtoB ECの構築方法について解説

まとめ

EDIは、企業間取引を効率化し、時間とコストを節約するための強力なツールです。個別EDI、標準EDI、業界VANなどの選択肢があり、それぞれが特定のニーズに応える設計となっています。また、EDI導入によるペーパーレス化や人的ミスの削減などのメリットに加え、標準化や導入コスト、取引関係の変化といった課題にも触れました。さらに、EDIと似たシステムであるEOSやBtoB ECとの違いも明らかにしました。デジタル化が進む現代において、EDIは企業が市場で競争力を保つために不可欠な存在です。適切なEDIシステムを選択し、導入することで、企業は効率的かつ柔軟な取引プロセスを実現し、ビジネスの成長と進化を加速させることができます。