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入金消込とは?具体的な作業の流れやよくある課題、システム化のメリットを解説

入金消込とは?具体的な作業の流れやよくある課題、システム化のメリットを解説

企業間の取引では、前払いやその場での支払いだけではなく、一定期間後に代金を受け取る約束で商品やサービスを売る掛売りでの取引が一般的です。その掛売分の入金を確認する作業を、入金消込といいます。

入金消込を手作業で行うと時間がかかり、ミスも起こりやすくなるほか、入金がなかった場合や請求額と入金額が異なっていた場合には、請求先への確認が必要になります。そんな面倒な消込は、システム化による効率化が可能です。手作業での消込作業の問題と、システム化のメリットについて見ていきましょう。

入金消込から代金回収までを代行する企業間決済「Paid(ペイド)」

そもそも消込とは

企業間(BtoB)取引では、先に商品やサービスを提供し、決まった期日にまとめて支払いをしてもらう後払い(掛け取引)が一般的です。そのため、消込を行うことによって、請求した金額がきちんと支払われているかを確認し、支払いが確認できない場合には督促を行うなどの対処が必要になります。

入金消込と支払消込の違い

入金消込は、顧客からの入金を管理するプロセスで、主に売掛金が対象です。実際に取引先から入金された金額と、発行済みの請求書に記載している金額とを照合し、相違がなければ帳簿の売掛金を消していきます。

一方、支払消込は、仕入先への出金や支払いを管理するプロセスで、主な対象は買掛金です。実際に支払った金額と受領した請求書の金額を照合し、間違いがなければ帳簿の買掛金を消していきます。

期日通りに入金が行われない場合や入金額と請求額が異なるなど、入金消込では複雑なケースが発生しやすく、取引件数が増えるにつれて業務負担も大きくなります。一方、自社で管理できる支払消込は計画的に行いやすい反面、支払い忘れなどのミスがあると取引先との信頼関係に関わってくるため、丁寧に行う必要がある作業です。

入金消込の流れと処理

消込作業に必要な売掛金や買掛金など、日々の取引を記録したものが「帳簿」です。取引は、資産・負債・純資産(資本)・収益・費用の5つに分類され、さらに細かく分けた「勘定科目」というものがあります。例えば、売掛金は「資産」の勘定科目になります。そして帳簿では下記の通り、左側を「借方」右側を「貸方」と呼び記録のルールが決められています。勘定科目を借方と貸方に分ける作業が「仕訳」です。

そもそも消込とは

借方と貸方の合計は、必ず一致します。

入金消込と実際の仕訳について、具体例で見ていきましょう。代金は後日受け取る約束をして商品を100万円売上げた場合、この売掛金は後日お金を受け取る「売上債権」のため、借方としては「資産」に分類されます。そして貸方としては「収益」に分類されます。

そもそも消込とは

そして実際に入金があったときは、以下の仕訳になります。

そもそも消込とは

実際にお金を受け取ることができたので、お金をもらえる権利である売掛金は減少させ、その分現金預金(普通預金)を増加させます。このように、売掛金や買掛金など債権・債務に関する勘定科目の仕訳をするのが、入金消込の処理となります。

エクセルを使った消込処理の方法

実際にはどのような方法で消込処理を行うのでしょうか。企業の消込処理でも利用されることの多い、エクセルを使った手順を説明します。

エクセルに入金情報を記録する

銀行口座などに売掛金の入金の事実があっても、通帳を見ただけでは、その会社への売掛残がいくらあるのかはわかりません。そこで、突き合わせ作業の事前準備を行います。まずは通帳を用意し、入金日・入金名義・入金金額と、通帳に記載されている内容をすべてエクセルに記録してください。

売掛金と入金金額の突き合わせ作業を行う

続いて、消込のメインである売掛金と入金金額の突き合わせ作業を行います。これは、請求先ごとの回収予定に対して、実際に入金があったかどうかの確認作業です。突き合わせによって、どの請求先からいくら回収できているのか、いないのかが明確になります。

突き合わせに必要なものは、通帳の情報を入力したエクセルと入金管理表です。入金管理表とは、いつまでにどの取引先からいくら入金されるかを管理するための表のことで、資金繰りや回収漏れ等の確認に用いられます。形式やフォーマットはさまざまです。

関数やフィルタリング機能の利用

エクセルの関数を利用すると、膨大なデータでも簡単に突き合わせを行えるようになります。例えば重複がないかをチェックしてくれるCOUNTIF関数、指定したデータのみの合計を出せるSUMIF関数、企業名を直接突き合わせるVLOOKUP関数などが便利です。また、通帳の入金情報をエクセルに入力するときに、振込名義のカタカナ表記を実際の企業名に置き換えておくと、関数を使う際に役立ちます。関数を利用しない場合はフィルタ機能を使い、企業名を抽出しながら1つずつ突き合わせ作業を行う方法もあります。エクセルでの入金消込について、詳しくは下記の記事も合わせてご覧ください。

関連記事:入金消込作業をエクセルで効率化する方法~関数・マクロでの自動化

手作業で消込作業を行う問題点

計算や関数、フィルタによる絞り込みができ、請求先ごとに入金日管理や金額管理もできるため、エクセルで消込作業を行っている企業は少なくありません。しかし、あくまで手作業になるため、ミスにつながりやすいという問題点もあります。特に注意したいのは次の3点です。

会計ソフトへの登録の手間と登録ミス発生の可能性

ヒューマンエラーが起きやすいエクセルで消込作業を完了しても、経理処理は完了していません。会計ソフトなどに入力することで、経理処理が完了します。これは人間が行う作業になるため、ミスをすることも珍しくありません。さらに、データ量が多くなればなるほど、入力処理の時間や手間がかかります。入力ミスや漏れを防ぐため、1件1件丁寧に確認しながら処理をすることが求められます。

目視での確認が必要

通帳などのデータからエクセルに入金情報を登録する作業、実際にデータを突き合わせて消込していく作業は、いずれも目視での確認を伴います。入金金額が一致しているか、請求先と振込口座名義は正しいか。これらは最低限チェックしなければいけない項目です。情報がすべて請求書と一致している場合であれば確認はすぐに済みますが、請求書に記載されている内容と実際の入金額や振込口座名義に誤差が生じることもあります。その場合は、取引先に確認を入れなければいけません。

誤差の原因としては、取引先の入金ミスや、振込手数料を差し引いての入金などが考えられます。また、通帳の情報をエクセルに登録する際の入力ミスによっても起こり得ます。これらをすべて目視で確認するとなると、かなりの手間が発生します。

作業するための技術や経験が必要になる

エクセルでミスなくスムーズに消込作業を行うためには、ある程度のスキルと経験が必要になります。取引先が増えれば増えるほどファイル作成にかかる作業時間も増加するため、効率を考えると最低限のエクセルスキルが必要です。また関数の知識がないと、数字の修正や更新にも時間がかかってしまいます。また入金額の差額や振り込み名の相違があった場合に、経験が長い人であればその理由や対処方法がすぐにわかりますが、経験が少ないといちいち確認する必要があるため、余計な時間がかかってしまいます。

支払いが滞っている取引先へは、支払期日までに迅速に連絡を行わなければならないので、消込作業はいかに効率的に素早くできるかが重要です。自然と経験値の高い人が作業することになり、作業できる人が限られてしまう可能性もあります。

消込作業で起きやすいトラブルと解決策

消込作業では、入金確認の遅延や消込漏れ、請求額と入金額の差額など、さまざまなトラブルが発生します。これらの問題に対しては、早急に原因を特定し、適切な対応策を講じることが重要です。

ここでは、効率的かつ正確な経理業務の実現を目指し、消込作業で頻繁に起こるトラブルとその解決策について詳しく説明していきます。

入金が確認できない

請求書に記載した期日までに入金が確認できないケースは、消込作業では頻繁に発生する問題です。

主な原因として、単純に支払いを忘れていた、振込手続きのミスで振り込みができていなかった、などがあります。また支払いはされていたものの、請求書の宛名と振込人名義が異なるために、消込ができていないケースも考えられます。このような場合、迅速かつ適切に以下の対応を行います。

  1. 取引先への連絡
    入金期日を過ぎても確認できない場合、取引先に速やかに連絡し、支払い状況を確認します。単なる支払い忘れであれば、請求書を再発行し、早急の入金を依頼します。
  2. 振込手続きの確認
    振込手続きのミスや振込名義人を確認し、ミスが起きている可能性がある場合は再度振込を依頼し、振込人名義は相違でも支払いが確認できれば消込を行います。
  3. 銀行への確認
    取引先が振込を行ったにもかかわらず確認できない場合、取引先から振込明細書を送付してもらい、銀行へ問い合わせ、事実関係を明確にします。

これらの原因に該当しない場合、内部エラーやシステムに問題がある可能性があります。会計ソフトやエクセルのデータを確認し、必要に応じて修正します。

消込漏れが発生する

消込を手作業で行っていると、必ず消込漏れが発生する可能性があります。

例えば、多数の取引や複数の銀行口座を扱う企業では、業務が複雑化し、単純な見落としや入力ミスが発生しやすくなります。また、取引先からの入金情報が不明確な場合、銀行明細との照合が困難となり、消込漏れのリスクが高まります。

対応策として、消込作業プロセスの見直しや再発防止策を講じることも有効ですが、手作業で行っているとミスが起こる可能性はゼロにはできないため、自動化ツールの導入などを検討するといいでしょう。

請求額と入金額に差額が生じる

差額が生じる主な理由は、単純な振込金額の間違えだけでなく、営業担当が独自に値引きをしていた、そもそも請求書に記載している金額が誤っていた、複数の請求書分の金額が一括で支払われた、振込手数料を請求額から差し引いて支払われた、などさまざまです。

このような差額が生じた場合には、次のような手順で対応します。

  1. 差額の確認と原因の特定
    差額の金額を正確に把握したうえで、差額の理由について取引先に確認する。
  2. 証憑の収集
    差額の理由を裏付ける資料(値引きの承認メールなど)を集める。
  3. 適切な会計処理
    特定された原因に基づいて、適切な会計処理を行い、データを更新する。
    例えば、値引きであれば売上の減額、手数料控除であれば雑損失や支払手数料として処理する。

さらに、取引条件の見直しや請求プロセスの改善、取引先とのコミュニケーション強化などを通じて、差額が生じるリスクを最小限に抑える仕組みを構築することが重要です。

システム化すれば消込作業は効率化できる

このように入金消込をエクセルで行うと、ミス発生のリスクが高く作業にも時間がかかります。リスクを回避し作業全般の効率化を目指すのであれば、システム化することが有効です。実際に消込をシステム化することにより得られる3つのメリットを紹介します。

消込作業のスピードと正確性が上がる

これまで手作業で行っていた、通帳の入金データをエクセルへ転記する作業や、目視で売掛金と入金データを突き合わせる作業などを自動化できます。また、他のシステムやアプリケーションのデータと連携することも簡単なので、会計ソフトへの入力などもスピーディーに行えるようになります。手入力が減ることは人的ミスの回避につながるため、正確性が向上します。

消込作業のスピード・正確性が向上することで、未回収債権の早期確認、請求先への催促などもスムーズに行えるようになります。

特定の担当者以外も入金消込が可能になる

消込作業は属人化しやすい業務です。しかし属人化した結果、確認漏れや入力ミスが発生しやすくなるだけでなく、特定の担当者しか作業ができないことで、その人がいないと確認が進まないなどのさまざまな問題が生じる可能性も考えられます。一方、システム化を行えば、人間の判断による場面はほとんどなくなります。誰でも入金消込に対応できるようになるので、ミスが減り確認作業などにかかる時間も削減できます。

入金状況をリアルタイムで確認できるようになる

銀行振込の場合、一定の間隔で通帳記入をしないと入金状況が分かりません。消込システムの中には、自動で入金データを取得してくれるものもあるため、リアルタイムで入金状況を確認できるようになります。銀行口座への振り込みだけでなく、クレジットカード決済による入金データにも対応できるものもあるなど、システムによって機能もさまざまです。

リアルタイムで入金データを自動取得できれば、売掛金の消込までが一気に自動化され、売掛金の残高状況をいつでも確認できるようになります。

入金消込は取引先に合わせる必要があるため自動化が難しい?

属人的な問題、誤入力などの問題があるにも関わらず、なぜいまだにシステム化は主流に至らず、手作業による入金消込が多く行われているのでしょうか。それは、取引先企業によって支払いサイクルや支払い方法などが異なるなどの理由から、柔軟なシステムをうまく構築できないためです。

しかし、一方で自動化システムは存在しており、以下のようなものがあります。これらの自動化システムを活用し、消込作業の効率化を図りましょう。

<入金消込の自動化システム>

  • 入金消込自動化サービス
  • 決済代行サービス
  • 会計ソフト

自動化システムについて、詳しくは下記の記事も合わせてご覧ください。

関連記事:入金消込の自動化による効率改善~自動化の方法とそのメリット・デメリット、導入時の注意点

まとめ

消込には細かなデータ作業が多く発生し、実際に作業をするまでにも準備や作業スキルが必要になります。また、手作業になるとミスが生じやすく時間もかかります。作業の遅れは未回収の取引先への連絡の遅れにもつながり、最悪、代金回収不能に陥ってしまうケースも考えられるのです。効率よくスピーディーに消込を行うためにも、自動化システムの利用がおすすめです。

また、BtoB掛売り決済サービス「Paid(ペイド)」を導入すれば、消込作業が不要になるだけでなく、与信管理から請求書の発行、督促まで、売掛金の発生から回収にいたるすべての業務をアウトソーシングできます。