カテゴリ:督促・債権管理

支払督促とは?メリットや法的手続きの流れ、注意点を解説

支払督促とは?メリットや法的手続きの流れ、注意点を解説

支払督促は、裁判所を通じて迅速に未払い債権を回収できる手続きです。通常訴訟よりも手軽に利用できるため、企業間取引や個人間の貸し借りで支払いが滞った場合に有効な手段です。しかし、異議申し立てや信用情報への影響といったリスクも伴います。本記事では、支払督促の基本的な仕組みから具体的な手続きの流れ、利用時の注意点やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

支払督促とは?

支払督促は、債権者が裁判所を通じて債務者に対して未払いの債務を支払うように請求する手続きのひとつです。これは、正式な裁判を経ずに比較的簡易な手続きで支払いを求めることができる手段であり、債権回収を迅速に行いたい場合に有効です。また、支払督促の特徴として、裁判所が発行した支払督促書に基づいて、債務者が応じなければ強制執行に進むことができる点が挙げられます。

通常、支払督促は裁判所(簡易裁判所)に申し立てを行い、裁判所が債務者に対して支払いを求める督促を発行します。債務者が支払督促を受けた場合、異議申し立てを行わない限り、一定の期間後に支払い義務が確定します。この手続きは、特に債務が明確であり争う余地が少ない場合に利用されることが多く、債権者にとって迅速かつ低コストで債務を回収するための手段として選ばれています。

支払督促の法的根拠と関連法

支払督促は、民事執行法や民事訴訟法に基づいて定められています。これらの法律により、支払督促の手続きは民事事件における債権回収手段の一つとして認められており、特に簡易裁判所で迅速に処理できることが特徴です。また、支払督促は、債権者の権利を保護し、迅速な解決を図るための法的なサポートを受けています。

支払督促と通常訴訟の違い

支払督促と通常訴訟は、どちらも債権回収を目指す手段ですが、それぞれに異なる特徴があります。支払督促は前述の通り、支払い義務が明らかで、債務者が支払いを怠っている場合に、債権者が裁判所の力を借りて迅速に支払いを求めるための手続きです。支払督促は基本的に書類提出のみで進行し、異議がなければ自動的に支払い義務が確定します。

一方の通常訴訟は、債務の有無やその内容に関して争いがある場合や、複雑な契約関係が絡んでいる場合に、裁判所で両者の主張を聞きながら解決を図るための手続きです。通常訴訟では、証拠の提出や証人尋問が行われ、より慎重な判断が求められます。

支払督促のメリットとデメリット

支払督促は、通常の訴訟よりも手軽で、迅速に債権を回収するための手段として、債権者に多くの利点をもたらします。一方、デメリットもあるため注意が必要です。

メリット

支払督促は裁判所への書面申立てのみで進められるため、訴訟のように証拠書類を大量に揃えたり、弁護士を雇ったりする必要がありません。これにより、債権者は手続きの負担を軽減し、迅速に対応できます。

また支払督促の費用は、請求金額に対してかかる手数料のみで済み、通常の訴訟に比べて低コストです。特に少額の債権回収を希望する場合、コストパフォーマンスに優れた選択肢となります。

支払督促が発令されると、判決と同等の法的効力を持ちます。さらに、異議がない場合は「仮執行宣言」を経て、相手方の財産を差し押さえるなどの強制執行が可能になります。このため、通常の訴訟と比べても強制力のある結果が得られるため、債権者のリスクを軽減できます。

デメリット

支払督促は債務者にとっても異議申立ての権利が保障されています。異議申立てが行われると、支払督促は通常訴訟に移行するため、債権者は改めて証拠を用意して審理に臨む必要が出てきます。異議が出る場合、支払督促のメリットである迅速さが損なわれることになります。

注意が必要なのが、支払督促は債務者に対する通知が正確に届くことが前提の制度のため、相手の住所が不明な場合に利用できないという点です。また、送達が完了しない場合も手続きが停止されるため、事前に相手の現住所を正確に把握しておくことが求められます。

支払督促の手続きの流れ

支払督促は、裁判所を通じて比較的簡易に行える手続きですが、具体的な流れを理解することで、スムーズに債権回収を進めることができます。ここでは、支払督促の申し立てから異議申し立て、強制執行までの一連の流れについて解説します。

支払督促の申し立て手続き

支払督促を開始するには、まず債権者が裁判所に支払督促の申し立てを行う必要があります。支払督促の申し立てには「支払督促申立書」が必要です。この書類には、債権者と債務者の情報、支払いを求める金額、支払いが求められる理由などを詳細に記載します。記載内容に誤りがあると手続きに遅れが生じる可能性があるため、正確な情報を記入することが重要です。

支払督促申立書以外にも、取引に関する証拠書類(請求書や契約書など)が求められる場合があります。これらの書類は裁判所に提出し、債権が有効であることを証明する役割を果たします。書類が準備できたら、債権者は簡易裁判所に支払督促の申し立てを行います。裁判所は提出された書類を確認し、問題がないと判断されれば、債務者に対して支払督促書が送付されます。

支払督促の審査と決定

裁判所が申し立てを受け付けた後、支払督促の審査が行われます。この審査では、提出された書類に不備がないか、債務が明確であるかを確認します。

通常、支払督促の審査は数日から数週間程度で完了します。審査が通れば、裁判所は債務者に対して支払督促書を発行し、送付します。この時点で、債務者は裁判所からの通知を受け取り、支払うか異議を申し立てるかの選択が可能です。

支払督促が通過し、債務者から異議申し立てがない場合、支払い義務が確定します。支払いが行われない場合は、次のステップである「強制執行手続き」に移行することができます。

異議申し立てへの対応

債務者が支払督促に対して異議申し立てを行う場合、支払督促手続きは通常訴訟に移行します。これにより、証拠や証言の提出が必要となり、法廷での審理が進められます。訴訟に移行することで、債権者と債務者の主張がそれぞれ裁判官によって吟味されます。

強制執行手続き

支払督促が通り、異議申し立てがなかった場合、債権者は強制執行手続きを通じて支払いを求めることが可能です。

強制執行は、支払督促に基づいて債務者の財産や収入を差し押さえる手続きです。支払督促が確定している場合に限り、強制執行を申し立てることができます。強制執行を行う際は、支払督促が確定したことを証明する書類を裁判所に提出し、強制執行の申し立てを行います。裁判所は債務者の財産を差し押さえ、債権者への支払いに充当します。

強制執行には、支払督促確定証明書などの書類が必要で、手数料や強制執行のための費用も発生します。これらの費用は、差し押さえた金額から支払われることもありますが、事前に確認することが重要です。

支払督促を利用する際の注意点

支払督促は、迅速で手続きも簡便な債権回収手段ですが、いくつかのリスクや注意すべき点もあります。ここでは、支払督促を利用する際に考慮すべきリスクや異議申し立てへの対応、信用情報への影響について詳しく解説します。

異議申立てがなされる可能性

異議申し立てが発生する理由としては、債務者が支払督促に記載されている金額や債務の存在そのものに異議を唱える場合や、債務者が一時的に支払いが困難で、支払督促に異議を申し立てることで、通常訴訟で分割払いや支払い猶予を求める場合などがあります。

さらに債務者が支払督促を無視するケースもあります。異議申し立てがない場合、支払督促は確定し、強制執行の手続きを開始できますが、債務者の資産がない場合は実質的な回収が難しい場合があります。

異議申立てがなされた場合に備えて、証拠資料を事前に整理しておくと良いでしょう。支払督促が通常訴訟に移行した場合でも迅速に対応できるよう準備を整えることで、手続きをスムーズに進められます。

弁護士や専門家のサポートが必要になる場合がある

支払督促は比較的簡単な手続きですが、異議申立てが発生したり、強制執行に進む場合は法的知識が求められることが増えます。そのため費用はかかりますが、複雑なケースでは弁護士や司法書士などの専門家に依頼することを検討すると良いでしょう。専門家のサポートを得ることで、スムーズかつ適切な対応が可能となり、費用対効果が向上します。

特に債務者が法人である場合や、異議申立てが予想される場合、または高額な請求を伴う場合には、専門家のサポートが特に有効です。事前に相談して手続きの流れや必要書類について確認することで、手続き全体の効率を上げられます。

企業間決済代行の「Paid(ペイド)」は、督促業務を含めた請求業務をすべて代行し、万が一未回収になった場合も代金を100%保証します。Paidを利用することによって、督促の手間を解消し、また未回収の心配をする必要がなくなります。

Paidの導入により督促の手間や未回収リスクを解消できた事例を紹介します。

導入企業株式会社生活の木
業種アパレル・雑貨
  • Paid導入前の課題

営業アシスタントが月に2回督促業務を行っていましたが、毎回督促状を出力して封入して発送してという業務に2~3日はかかっており、本来やるべきアシスタント業務に集中できないというのが課題でした。

また請求書を送って終わりにしてしまう件数も多く、そうなると未回収もその分増えてしまい、督促の件数が全く減らないという状況が続いていました。

  • Paid導入後の効果

これまで督促業務のようなマイナスをゼロにする仕事に営業アシスタントの時間がとられてしまっていたのが、今はページを作ったりメルマガを作ったりという、プラスを生み出す仕事に転換できています。未回収のリスクもないため、攻めの体制につながっています。

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まとめ

この記事では、支払督促について、基本的な仕組みから手続きの流れ、利用する際の注意点までを詳しく解説しました。支払督促は迅速かつ簡便に債権回収ができる手段ですが、異議申し立てや無視された場合のリスクがあることへの考慮が必要です。手続きの流れやリスクを理解し、適切に支払督促を活用することで、効率的な債権回収が実現します。