サブスク向け決済代行サービスとは?メリットデメリットと選ぶ際のポイントを解説
昨今、サブスクリプション型のビジネスモデル(サブスク)が普及し、これまでの買い切り型から移行するサービスが増えてきています。買い切りのビジネスと違い、サブスクでは単価が低く、取引件数が多いのが特徴です。そのため、毎月発生する定額の請求が非常に煩雑になります。
そこで注目されているのが、サブスク向けの決済代行サービスです。この記事では、BtoB向けサブスクリプションビジネスにおける決済代行サービス導入のメリットとデメリットをふまえ、決済代行サービスを選ぶ際のポイントを解説します。
目次
そもそもサブスクとは
サブスクリプションとは、料金を支払うことにより、一定期間サービスを受けられるビジネスモデルのことです。定期購入、定期課金ともいわれ、1ヵ月や1年単位で料金を支払うことで、自分の好きな時にサービスやコンテンツを消費できる仕組みです。BtoC向けのサブスクサービスとしては、音楽配信や動画配信といったおなじみのものから、車やアパレルを定額でレンタルできるサブスクも浸透してきました。近年商品そのものを「所有する」のではなく、「利用し、体験する」志向が高まっていることから、今後も様々なサービスが登場すると予想されます。
一方、BtoB向けのサブスクリプションサービスで代表的なものは、Adobe Creative Cloud(アドビクリエイティブクラウド、以下アドビ)、Microsoft Office 365(マイクロソフトオフィス365)などがあげられます。アドビはillustratorやPhotoshopなどが有名ですが、2012年より、買い切り型からサブスク型にモデル転換し、今まで高額な利用料金だったものを手軽に購入できるようになり、売上を大きくあげました。マイクロソフトもオフィス365でサブスク型を導入したことでユーザー企業の利便性をあげることに成功しています。
関連記事:サブスクリプションビジネスとは?~市場規模とBtoB収益モデルの成功事例
BtoB向けサブスクにおける決済の課題
サブスクのような定額課金における決済方法として多いのが、クレジットカードです。BtoCではクレジットカード決済も浸透し、利用に抵抗があるユーザは少ないかもしれません。しかしBtoBにおいては請求書払いが一般的なため、クレジットカードを保有している会社は多くないのが現状です。
どうしてもクレジットカードで決済しなければならない場合は、担当者や代表が持っている個人名義のカードを使わざるを得ず、そうなるとそもそも個人のカードを使いたくないので利用を断念する、限度額が少なくて決済できない、といった課題が発生します。
またサブスクサービスの収益は、料金×利用企業数×利用継続率で決まるため、利用企業数をどれだけ増やせるかがカギとなります。積極的に利用企業数を増やすことができた場合、それだけ細かい請求が増え請求管理が非常に煩雑になります。
サブスク向け決済代行サービス導入のメリット
サブスク向けの決済代行サービスは、こうした課題を解決するサービスとして注目を集めています。導入することによってさまざまなメリットが得られます。
決済システム構築の負担なしで複数の決済方法に対応できる
サブスクサービスの収益を最大化するためには、新規顧客の獲得と利用継続率の向上がポイントです。そのためにはお客様が希望する決済方法を用意することも求められます。先述した通り、クレジットカード決済のみでは法人カードを持っていないユーザを取りこぼしてしまう可能性があります。そこでBtoB取引で一般的な請求書払いに対応することで、こうした失注を減らすことができます。
またサービスの利用継続につながりやすいとされているのが口座振替です。口座から自動で代金が引き落とされるため、支払いを意識することがなく、また支払いの手間も不要になるため、サービスの利用が継続しやすい特徴があります。
クレジットカード決済、請求書払い、口座振替とさまざまな決済方法を用意することが理想的ですが、自社で決済業務を行う場合、決済方法の選択肢を増やすのは非常に困難です。クレジットカード決済を導入するだけでも、Visa、MasterCard、JCBなどの各クレジットカード会社と契約する必要があります。各クレジットカード会社の異なる審査に通過し、複雑な事務手続きをしなければ契約ができません。契約の手間以外にも、各種決済手段のシステム開発や運用、セキュリティ対応までも行わなければならないでしょう。
しかし決済代行サービスを利用すれば、煩雑な契約交渉からその管理までを一手に引き受けてくれるので、労力をかけずに複数の決済方法に対応することができます。ビジネスの収益拡大を考えれば、決済代行サービスの利用はサブスクにおいて必要不可欠でしょう。
情報管理のセキュリティを強化できる
決済をするとなると、担当者名やメールアドレスなどの基本情報とともに取引履歴やクレジットカード情報などの機密情報も扱うことになります。
そこでセキュリティ対策をしっかりと行うことが必要ですが、自社で対策をするとなると、数百万、数千万といった費用がかかることも珍しくありません。決済代行サービスを利用すれば、すでに盤石なセキュリティ対策が施されていることがほとんどなので、自社で対策をする必要がなくなり、よりセキュリティを強化することにもつながります。
決済・請求業務の手間を削減できる
企業ごとに異なる課金金額や課金周期、決済方法を管理し、間違いなく請求するのは非常に大変です。件数が増えれば増えるほど管理が煩雑になり、社内のリソースでは手が回らなくなってしまう可能性があります。
決済代行サービスを利用すると、こうした請求・決済の管理に特化した機能が備わっているため、管理の手間を大幅に改善することができます。またプラン内容(請求データ)や会員データをAPIで連携することができれば、ほぼ請求を自動化することができます。
また請求書払いに対応しているサービスであれば、そこで必要な与信管理、入金管理、督促、代金回収までを代行していることがほとんどです。こうした業務が全く不要になるため、業務の効率化につながります。
サブスク向け決済代行サービス導入のデメリット
導入コスト・手数料がかかる
決済代行サービスを導入するにあたっては、初期費用、決済手数料、月額利用料などのコストが発生します。
特に注意すべきなのは決済手数料で、初期費用や月額利用料などの固定費と異なり、取引に応じて料金がかかるため、料率などをチェックしましょう。1件あたりの請求についての手数料は少額に感じられるかもしれませんが、利用企業数が増えればその分高額になります。
導入検討の際には、できるだけ複数の決済代行会社の設定する料率を比較する、自社に必要なサービスを把握したうえで必要のないサービスを付けないようにする、といったことが必要です。
支払い遅延・未払い時の対応は自社で行う必要がある
支払い遅延や未払いが発生した場合には、督促から代金回収までを自社で行う必要があります。決済代行会社が対応してくれるサービスもありますが、課金管理のみに特化したサービスでは対応していないこともあるので注意が必要です。
督促を自社で行う場合には営業が担当することが多く、貴重なリソースが割かれるうえに、心理的なストレスにもつながるため、営業の生産性を下げる可能性もあります。未回収が発生した場合の対応も検討しておく必要があります。
サブスクの決済代行を選ぶ際のポイント
決済手段の豊富さ
まずは決済手段の種類が豊富な決済代行会社を選ぶとよいでしょう。各決済代行会社によって、取り扱う決済手段の種類が異なります。前述のとおり、決済手段の選択肢が多いほど利用企業の利便性が向上し、新規獲得数や継続率のアップにつながると考えられます。
一般的な決済手段としては、クレジットカード決済の他に、口座振替、銀行振込、請求書払い、コンビニ払いなどが考えられます。
なお、クレジットカード決済に関しては、対応するクレジットカード会社が限定されている場合がありますので、Visa、MasterCard、JCBなど大手の各クレジットカード会社を取扱っているかどうかを確認しましょう。BtoBでは請求書払いのニーズが高いので、対応することがおすすめです。
セキュリティの信頼性
決済代行会社には顧客情報を預けることになるため、セキュリティ対策がしっかりと施されているかは非常に重要です。万が一、決済代行会社から顧客情報が流出してしまうと、自社に責任はなかったとしても信用問題に関わり、顧客離れが起こる可能性があります。
決済代行会社を選ぶ際、セキュリティ面について信頼できるかどうかは、第三者機関の規格をクリアしているかがポイントです。国際水準のセキュリティ基準(PCI DSS)やプライバシーマーク、ISO27001などが代表的なもので、この規格についてクリアしているかどうか、案内資料やホームページに記載があるかチェックしましょう。
導入後に発生する業務
例えばお客様から支払い方法の変更を依頼された際、サービスによって対応方法が異なります。利用企業が決済代行サービスの管理画面から該当のお客様の情報変更が必要なサービスもあれば、お客様自身が専用のマイページから変更の手続きができるサービスもあります。
また口座振替を希望された場合に、振替依頼用紙の発送や回収の手続きも利用企業で行わなければならないサービスもあります。
また課金データの登録が毎月発生するかどうかもポイントです。基本的には課金データをCSVでアップロードできますが、顧客情報や請求情報を別々のDBで管理している場合、それぞれのデータを抽出して課金データにまとめるのは労力がかかります。
APIでシステムと連携することが理想的ですが、開発のコストもかかるため検討が必要です。API連携できなくても、課金期間と課金金額を初回に登録するだけで、毎月の課金が自動で行われる機能が備わっているサービスを使うと、運用にあたって発生する業務を最小限にできます。
BtoB向けサブスクの定額請求を自動化できるPaid
BtoB掛売り決済サービス「Paid(ペイド)」は、口座振替・請求書払い(銀行振込)に対応した企業間決済サービスです。与信審査、入金確認、代金回収まですべての請求業務を代行し、取引先が未払いでもPaidが代金を100%お支払いします。
Paidのメリット
- 「Paid定額自動請求」機能なら、取引先情報と請求プラン(請求金額・請求日・請求期間)を登録するだけで、API連携不要で毎月の請求を自動化できます。
- 口座振替の手続きで発生する取引先への書類送付、書類の回収と記入漏れのチェック、印鑑相違や記入不備による返送の対応などの面倒なやりとりもすべてPaidが代行します。
- 支払い方法や請求先の変更は、お客様専用のマイページ上から手続きができます。利用企業様側では、取引先の情報変更・管理が不要になります。
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まとめ
サブスクリプションビジネスの市場規模は今後も拡大し続けることが予想されます。サブスクサービスでは単価が低く請求件数が多い特徴があることから、お客様のニーズにあった決済方法を用意しつつ、毎月発生する課金管理を効率化することが求められます。
その方法として注目されているのが、サブスク向けの決済代行サービスの導入です。決済代行サービスを導入するメリットとしては、煩雑な業務負担なしに複数の決済手段に対応できること、顧客情報管理のセキュリティを強化できること、請求業務の手間を削減できることがあげられます。
反対に、導入コストや利用料金がかかること、支払遅延や未払の場合には自社で対応しなければならない場合もあることなどがデメリットとしてあげられます。決済代行サービス会社を選ぶポイントとしては、豊富な種類の決済手段が備えられるかどうか、セキュリティ対策が万全な会社であるかどうか、導入後に発生する業務に何があるかがあげられます。
これらのポイントに注目して、サブスク向け決済代行サービスの導入を検討してはいかがでしょうか。