カテゴリ:督促・債権管理

支払督促による消滅時効の更新とは?時効成立の条件や知っておくべきポイントについて解説

支払督促による消滅時効の更新とは?時効成立の条件や知っておくべきポイントについて解説

未回収の債権に対する「消滅時効」が迫ると、請求権を失うリスクが高まり、債権回収が難しくなります。時効の成立を防ぎ、効率的な回収を行うためにはどのような対策が必要でしょうか?この記事では、時効の基本的な仕組みから中断方法、そして効果的な督促や法的対応の手段まで、債権を守るために知っておくべき重要なポイントを徹底解説します。債権管理を見直し、時効リスクを回避するためのヒントをぜひご活用ください。

消滅時効の定義と条件

消滅時効は、未払い金に関わる法的手続きとして知っておくべき重要な概念です。

消滅時効とは?

消滅時効とは、一定の期間が経過すると、債権者が債権を請求する権利を失い、法的に債務者がその支払い義務から解放される制度です。これは、「一定の長期間、権利を行使しない場合は、その権利を失うべきだ」という法的な考えに基づいています。時効の仕組みは、社会の秩序維持や公平性を図るために設けられています。

時効が成立する条件と要件

時効が成立するには、一定の条件を満たす必要があります。基本的に、債権者が「権利を行使しないまま一定期間が経過する」ことが重要です。時効期間は、債権の種類や状況により異なり、例えば、一般の金銭債務については5年、業務に関わる請求の場合は2年といったように、債権の性質や法律によって期間が決まっています。消滅時効が完成すると、債権者は法的に債権を行使できなくなります。

代表的な債務の時効期間は下記の通りです。

  • 商取引に基づく債務(例えば商品の売買代金):5年
  • 一般の金銭債務(例えば借金やローン):5年
  • 個人間の未払い債務(例えば家賃、給料など):5年
  • 不法行為に基づく損害賠償請求権:3年

民法改正後、ほとんどの債務が5年に統一されており、これは請求側・請求される側双方にわかりやすい仕組みとなっています。

時効の完成猶予・更新とは

債務が一定の期間を経過しても回収されない場合、その債務は「消滅時効」として法律上消滅する可能性があります。しかし、特定の状況下では、この時効の進行が一時的に止まる「完成猶予」や、再び新たな時効期間が開始される「更新」が適用されることがあります。ここでは、時効の完成猶予と更新の概要や適用条件について詳しく解説します。

時効の完成猶予とは

時効の完成猶予とは、一定の事情により、時効の進行が一時的にストップする制度です。完成猶予が適用されている間は、時効が成立するまでの残りの期間はそのまま保留され、時効が一時的に延長される仕組みとなります。

例えば債権者と債務者の間で返済方法の交渉や示談の手続きが行われている場合、交渉が続いている間は時効が完成するのを待つ「完成猶予」が適用されることがあります。交渉や示談中に時効が成立してしまうと、債務が消滅してしまう恐れがあるためです。債権者が訴訟を起こしているときも、裁判が終結するまで時効の完成が猶予されます。裁判所での争いが終わるまで、時効の進行が停止されるため、裁判終了後に改めて時効のカウントが再開されます。

時効の更新とは

時効の更新とは、時効が成立する前に特定の条件が発生した場合、時効の期間がリセットされて新たなカウントが開始される制度です。時効が更新されると、それまでの期間が無効化され、再び最初から時効期間がスタートします。

完成猶予は時効の進行が一時停止するのに対し、更新は進行をリセットして再カウントを始めます。したがって、完成猶予の場合、猶予期間が終了すれば時効期間は引き続き進行しますが、更新の場合は全く新しい期間が設定されることになります。

時効を更新する手段はいくつかありますが、その一つが支払督促です。

支払督促とは

支払督促は、債権者が借金や未払いの債務に対して迅速に請求するための簡易な法的手続きです。通常の訴訟と異なり、支払督促は裁判所の書記官が書面審査を行うため、債務者との口頭でのやり取りや審問はありません。この手続きは、以下のような特徴を持っています。

支払督促の流れとその特徴

支払督促は、異議がなければそのまま確定し、債権者は強制執行の申立てを行うことが可能になります。また、異議がなければ裁判と同様の効力を持つため、債権の回収に要する手続きが短縮されるのが大きなメリットです。

支払督促の基本的な手続き

支払督促は、債権者が裁判所に申立てを行い、裁判所書記官が債務者に対して督促状を送ることで始まります。債務者には、支払督促に異議を申し立てる機会が設けられており、異議が出された場合は通常の訴訟手続きに移行します。

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支払督促による消滅時効の中断

支払督促が送達されると、債権者による権利行使が確認されるため、時効のカウントが一時的に停止し、「時効の中断」が発生します。これにより、時効が成立するまでの期間はリセットされます。

支払督促は、異議申し立てがなければ確定し、法的な効力を持つことになります。この時点で、債権者は強制執行を申立てることが可能となり、債務者は支払い義務を免れなくなります。この確定により、時効期間も新たにリセットされ、更新が行われる仕組みです。

時効が更新されると、通常の時効期間と同様の期間が新たに始まります。例えば、消費者金融の債務に適用される時効期間が5年である場合、支払督促の確定後は再び5年間の時効期間が設定されます。この間、債務者が異議申し立てを行わない限り、債務は有効に残ることになります。

企業間決済代行の「Paid(ペイド)」は、督促業務を含めた請求業務をすべて代行し、万が一未回収になった場合も代金を100%保証します。Paidを利用することによって、督促の手間を解消し、また未回収の心配をする必要がなくなります。

Paidの導入により督促の手間や未回収リスクを解消できた事例を紹介します。

導入企業株式会社生活の木
業種アパレル・雑貨
  • Paid導入前の課題

営業アシスタントが月に2回督促業務を行っていましたが、毎回督促状を出力して封入して発送してという業務に2~3日はかかっており、本来やるべきアシスタント業務に集中できないというのが課題でした。

また請求書を送って終わりにしてしまう件数も多く、そうなると未回収もその分増えてしまい、督促の件数が全く減らないという状況が続いていました。

  • Paid導入後の効果

これまで督促業務のようなマイナスをゼロにする仕事に営業アシスタントの時間がとられてしまっていたのが、今はページを作ったりメルマガを作ったりという、プラスを生み出す仕事に転換できています。未回収のリスクもないため、攻めの体制につながっています。

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まとめ

支払督促は、債権者が迅速に未払いの債権回収を図るための法的手続きで、通常の訴訟よりも簡易的に進められるのが特徴です。一方、消滅時効は、一定期間の経過により債権が消滅する制度です。支払督促が確定すると、消滅時効がリセットされ「更新」として新たな時効期間が開始します。また、支払督促や訴訟の進行中には時効の「完成猶予」が適用され、時効の進行が一時的に停止されることがあります。

このように、支払督促が消滅時効に与える影響は大きく、債権者と債務者双方にとって重要な判断材料です。消滅時効の「完成猶予」や「更新」を理解し、債権管理や債務整理にお役立てください。