DX推進とは?DXによるメリットと具体的な課題や実現方法を解決
ITやデジタル技術の進化に伴い、ビジネスシーンにおいて「DX推進」というワードを耳にする機会が増えました。
DX推進に向けた取り組みを開始するには、DX推進がなぜ必要なのか、推進することでどのようなメリットを得られるのかを明確に理解する必要があります。
そこで本記事では、DX推進の必要性やメリットについて解説します。DX推進の課題や実現方法も詳しく解説します。
DX推進とは
DX推進とは、企業がデジタル技術を駆使して、ビジネスモデルや業務プロセス、組織文化を根本から見直し、全面的に変革を促す取り組みのことを指します。この過程では、IT技術を活用して業務のデジタル化を図るだけでなく、組織構造の再構築や革新を目指し、新たなビジネスチャンスの創出や顧客体験の質的向上を追求します。
そもそもDXとは
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業がAIやIoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用し、業務フローを改善したり、新たなビジネスモデルを創出したりすることです。DXを実現する手段・導入するツールは、企業の規模や抱えている課題によって変わります。
最新のツールやテクノロジーを活用し、企業全体の生産性を向上させることによって、市場における競合優位性を向上させることができます。
DX推進とIT化の違い
DX推進は、IT化と混同されるケースが多く見られます。IT化とは、業務効率化や生産性向上、コスト削減などを実現するためにデジタル技術を導入することです。
DX推進は、社会や組織、ビジネスの仕組み自体を変革することが大きな目的となっているのに対し、IT化は既存の業務の業務効率化や生産性向上を図るなど目的が限定的となっています。つまり、IT化はDX推進を実現するための手段の一つといえるでしょう。
DX推進が必要な理由
DX推進は国が主導となって進められていますが、なぜDX推進が必要とされているのでしょうか。DX推進が必要な理由は、大きく3つあります。
- 2025年の崖
- デジタル化の加速によって変化する市場への対応
- 柔軟な働き方と生産性向上の実現
それぞれの理由について解説します。
2025年の崖
2025年の崖とは、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」で言及した問題のことです。DXレポートでは、多くの企業で既存システムの老朽化やブラックボックス化が進み、これらの問題を解決できなかった場合、2025年以降に最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると言及しています。
2025年の崖に対応するためには、既存システムの改修や見直しをおこない、DX推進に向けた取り組みをおこなう必要があるのです。
参考
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)
デジタル化の加速によって変化する市場への対応
デジタル技術の進化は、消費者の行動を大きく変え、企業に新たなビジネスチャンスを提供しています。たとえば、オンラインショップの普及は実店舗のみならず、オンラインでの販売戦略を見直すきっかけとなっています。
企業がDX推進を加速させることによって、変化が激しい市場に対して迅速に対応できるようになるでしょう。DX推進は、企業の競争力向上に大きく寄与します。
柔軟な働き方と生産性向上の実現
昨今のビジネス環境では、リモートワークやフレキシブルな勤務体系が一般的となりつつあります。それに伴い、オンラインでのコミュニケーションツールや、業務管理ツールの導入が進んでいるのが現状です。企業が柔軟な働き方を実現するために、DX推進は不可欠といえるでしょう。
また、DX推進によりデジタル技術を用いた業務効率化を実現できれば、企業全体の生産性向上も期待できます。
DX推進のメリット
続いて、DX推進の具体的なメリットを説明します。特に大きなメリットは、以下の3点です。
- 業務効率化とコスト削減
- データの有効活用が可能になる
- 新規事業開発につながる
それぞれの内容について解説します。
業務効率化とコスト削減
DXを推進することで、業務効率化とコスト削減を実現することが可能です。
たとえば、紙などのアナログな方法でおこなっていた業務をデジタル化することで、業務を大幅に効率化でき、作業時間の短縮や人員削減につながります。さらに、少ない労力で業務をおこなえるようになるため、生産性の向上につながるでしょう。また、ペーパーレス化も進められるメリットもあります。
ほかにも、手作業によるデータ入力をデジタル化することでヒューマンエラーを抑制することも可能です。データ入力を手作業でおこなうと、入力ミスや転記ミスなどが起きやすくなりますが、DXを推進することで業務の正確性を向上させることができます。
データの有効活用が可能になる
DXを推進することで、データの有効活用が可能になるメリットもあります。デジタル技術を活用して顧客データを収集・分析することで、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされたサービス提供が可能になります。これによって、顧客満足度の向上とロイヤリティの強化が期待できるでしょう。
また、DX推進によるデータの利活用を進めることによって、さまざまなデータを活用したうえでより客観的で精度の高い意思決定が可能になります。データ分析を通じたリスク評価を事前におこない、企業にとって最適な経営戦略を立案することが可能です。
新規事業開発につながる
デジタル技術の活用は、新たなビジネスモデルの創出や、未開拓市場への進出を可能にします。たとえば、データを活用した新サービスの提供や、デジタルプラットフォームを通じた新たな顧客層の獲得などを実現できるでしょう。
競争が激しい市場において新規事業の開発はリスクが伴います。DX推進によって最新のデジタル技術を活用できる環境を構築できれば、リスクを最小限に抑えて新規事業の開発を進められるでしょう。
DX推進における課題
DX推進は企業にとって多くのメリットをもたらしますが、以下の課題があってDXを推進できない企業が多く見られます。
- 組織文化の変革の難しさ
- 技術的な障壁
- セキュリティリスクの管理
- DX人材の不足
- 従業員のスキル不足
DX推進は、企業全体で長期に渡って取り組まなければなりません。そもそもDX推進を先導する役割を担う経営層がDXの意識・理解が不足しているケースや、DXに取り組もうとする企業文化・風土がない、DX推進に向けた予算の確保が難しいといったケースも多く見られます。
DXを推進するためのステップ
DXを推進するためには、以下の5ステップでおこなう必要があります。
- DXの認識共有・機運醸成(共通理解形成)
- 全体方針の決定(目的の明確化)
- 現状分析とツールの選定
- ツールの実装と推進体制の整備
- 計画の実行
それぞれの内容について解説します。
DXの認識共有・機運醸成(共通理解形成)
まずは、組織内のすべての関係者がDXの重要性と目指すべき方向性について共通の理解を持てるようにします。たとえば、セミナーや研修会などを通じて、DXの基本概念や成功事例、組織におけるDXの意義や影響を説明すると良いでしょう。経営層からの情報発信と従業員からのアイデア・意見の両方を組み合わせることで、企業全体でDXの理解と意欲を高めましょう。
全体方針の決定(目的の明確化)
続いて、DX推進の最終目標と、それを達成するための具体的な方針を設定します。経営層が中心となり、組織の長期的なビジョンとDXを通じて達成したい目標を明確にしましょう。さらに設定したビジョンと目標に基づき、具体的なアクションプランを策定します。
目標が非現実だと従業員のモチベーション低下につながるため、具体的かつ達成可能な目標を設定することがポイントです。
現状分析とツールの選定
次に組織の現状を分析し、DXを推進するうえで必要なツールや技術を選定しましょう。組織の分析では、業務プロセスやITインフラ、データ管理などの状況を詳細に分析します。分析して改善すべき点を特定したら、目標達成に向けて必要なデジタルツールや技術を選定しましょう。
現状分析は、外部の専門家やコンサルタントに依頼して、客観的な視点からおこなうのも一つの手です。また、選定するツールは、今後の企業の成長を考慮して拡張性や互換性なども含めて検討しましょう。
ツールの実装と推進体制の整備
次に、選定したツールを実装し、DX推進体制を整備します。ツールを実装する際には、まず小規模な環境で導入し、ツールの適合性や効果を検証する必要があります。問題点や改善すべき点を洗い出し、改善したら本格導入する流れです。
併せて、DXを推進する専任のチームを設置しましょう。チーム内での役割分担と責任範囲を明確にし、各メンバーが協力しながらDX推進に向けたプロジェクトを進められるようにします。また、具体的なスケジュール案も立案しましょう。
計画の実行
続いて、策定した計画を実行に移します。策定したスケジュール案通りに進められているか、定期的に進捗状況をレビューします。また、計画を実行する際には、予期せぬ障害や課題が生じる可能性があるでしょう。そのため、状況に応じて計画を柔軟に調整することも大切です。
請求業務のDX化を進める方法
DXを進めるべき業務の一つに請求業務があります。
請求業務のような売上に直結しない支援的な業務は、ノンコア業務と言われます。一方の売上を生むための直接的な業務である営業活動や商品開発、販促活動などはコア業務と言われ、事業の成長や売上UPを実現するためには、コア業務に注力できる環境を整備することが重要です。
特に請求業務は、企業が取引をするうえで必ず発生する業務です。そして、請求書の発行から入金確認、消込、入金がかなった場合の督促など、煩雑な業務が含まれます。督促は営業が担当することも多く、件数が増えてくると、本来営業活動に使うべき貴重な時間を割かれてしまいます。
こうした状況では、コア業務に専念したくても専念できず、成長の機会を逃してしまう可能性があります。
営業DXにもつながる企業間決済サービス「Paid」とは
「Paid(ペイド)」は、請求業務の代行と未払い時の保証がセットになった企業間決済サービスです。後払いで発生する請求書の発行、入金確認・消込、督促、代金回収まですべての業務を代行します。
導入企業は請求データを登録するだけで請求業務が完了するため、請求業務の大幅な効率化につながります。
営業は督促業務を行う必要がないため、メイン業務である営業活動に専念できます。また経理もこれまで請求業務に費やしていた時間を、財務分析や外部とのコミュニケーションなど事業を拡大するための業務に使うことができるようになります。
関連記事:決済をPaidに一本化!事業が成長しても請求業務はゼロのままです~八面六臂株式会社
まとめ
今回は、DX推進の必要性やメリット、課題、実現方法について解説しました。DX推進が必要な理由は以下の3つです。
- 2025年の崖
- デジタル化の加速によって変化する市場への対応
- 柔軟な働き方と生産性向上の実現
DX推進は、業務効率化やコスト削減、競争力向上など、さまざまなメリットにつながります。しかし、組織文化の変革の難しさや技術的な障壁、DX人材の不足などの課題によってDX推進が難しくなるケースは多いでしょう。
企業でDXを推進するためには、以下の5ステップでおこなう必要があります。
- DXの認識共有・機運醸成(共通理解形成)
- 全体方針の決定(目的の明確化)
- 現状分析とツールの選定
- ツールの実装と推進体制の整備
- 計画の実行
DX推進の取り組みを始める際には、今回紹介した内容を参考にしてください。