人手不足の原因とは?業種ごとの背景や人手不足解消のための施策を解説
昨今、多くの企業が人手不足の問題を抱えています。日本では人口減少や少子高齢化が進んでいるため、今後も人手不足が深刻化していくと考えられます。どのような施策を打てば、この問題を解決できるのでしょうか。
本記事では、人手不足の原因や背景、具体的な解消方法を解説します。
目次
人手不足の原因と背景
人手不足が深刻化している主な原因や背景は、以下の4つです。
- 少子高齢化
- 人材のミスマッチ
- 雇用形態や働き方のニーズの多様化
- 人材の流動性
これらが人手不足に及ぼす影響を解説します。
少子高齢化
日本では、人口減少に加えて少子高齢化が進行しています。少子高齢化の進行による働き手の減少が、人手不足を加速させています。また、人口減少や少子高齢化は今後も進行すると考えられています。
現在、働き方改革により、高齢者や女性が働きやすい環境が作られています。とはいえ、15~64歳の人口割合は大きく低下する見込みのため、今後も人手不足は深刻化すると考えられます。
人材のミスマッチ
採用時に人材のスキルを適切に判断できなければ、企業が求める能力と求職者が持つ能力にミスマッチが生じることがあります。
例えば、求職者の能力が、企業が求める能力を下回っていた場合、想定していた作業量をこなすことができません。その結果、人材を増やしたのにもかかわらず必要な労働力が確保できず、人手不足を引き起こすことがあります。
働き方のニーズや雇用形態の多様化
リモートワークやフレックスタイム制が普及し、時間や場所にとらわれない働き方に対するニーズが高まっています。また働き方改革により、雇用形態による待遇の格差解消が進められ、アルバイトや派遣などでも好待遇で働けるようになり、正社員にとらわれない自由な働き方も普及しています。
働き方に対するニーズの多様化も、人手不足の一因となっています。
人材の流動性
人材の流動性が高くなったことも、人手不足の要因の一つです。近年、日本でも転職に関心を持つ人が増えており、転職者希望者が増加しています。
2020年以降はコロナウイルスの影響もあり、転職者の割合は減少しましたが、2010年から2019年にかけて転職者数は増加していました。
今後も転職者数が増えると予想できます。
人手不足が著しい業界
多くの業界で人手不足が起こっていますが、その程度は業界によって異なります。ここでは、人材不足が著しい業界を4つご紹介します。
情報サービス業
情報サービス業は、ITニーズの高まりにより、今後多くの労働力が必要とされる業界です。しかし、少子高齢化や人口減少によりIT人材は緩やかに減少すると考えられています。2030年には、日本全体で最大79万人のIT人材が不足すると予想されています。
参考:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」
建設業
建設業は現在も人手不足ですが、高齢の職人が多いことから、今後さらに人手不足が進むと考えられています。加えて、高度経済成長期に建設された建物が2025年以降、急速に劣化すると考えられています。これらを整備するには、建設業の人材確保が欠かせません。このような背景から、建設業でも人手不足を解消する動きが進められています。
運送業
運送業はこれまでも慢性的な人手不足の問題を抱えていましたが、物流の2024年問題により、さらに人手不足が深刻化すると考えられています。2024年からは、ドライバーの時間外労働の上限規制が適用され、従業員一人が輸送できる輸送量が減少します。モノが運べなくなる可能性が高まるため、人手不足の解消が急務となっています。
介護・医療業界
介護・医療業界も人手不足が深刻化している業界の一つです。人口減少や少子高齢化により、介護や医療の需要はさらに増加すると考えられているため、さらなる人材の確保が求められています。しかし、特に介護業界は、給与の低さや業務のきつさが問題になっている業界でもあります。人手不足の解消には、労働条件を大幅に改善する必要があるでしょう。
人手不足解消のための施策とは
人手不足は、以下のような施策を講じることで解消できる可能性が高まります。
- 労働条件を改善する
- 外国人労働者を雇用する
- アウトソージングを活用する
- 生産性を向上させる
それぞれの施策を解説します。
労働条件を改善する
上述した通り、働き方のニーズが多様化し、また転職希望者が増えていることからも、他社よりも魅力的な労働条件を整備することが重要です。労働条件は、給与面だけでなくフルタイム以外の雇用形態に対応するなどで幅広い人材の雇用につながります。また福利厚生を充実させるなど、人材の定着率を上げるための改善も欠かせません。
外国人労働者を雇用する
日本人だけでなく、外国人を採用することも人手不足を解消する方法の一つです。
外国人労働者には知識や技術の習得を目指し、就労意欲が高い人材が多くいます。そうした人材を採用することができれば、社内の活性化にもつながるでしょう。
一方で、外国人労働者を雇うためには、言葉や文化の違いを理解するための努力や、労働環境の整備も必要です。これらをクリアできるのあれば、外国人労働者の採用を進めることで人手不足の解消が見込めます。
アウトソーシングを活用する
アウトソーシングを活用することで、人材を採用せずに人材不足を解消する方法もあります。営業活動や商品開発といった、いわゆる「コア業務」と言われる売上を生むための直接的な業務は社内での対応が必要ですが、一方の売上に直結しない支援的な業務である「ノンコア業務」は積極的にアウトソーシングを活用すべきでしょう。
そうすることによって、限られた人材をコア業務に集中させることができ、人材を雇わずに労働力を確保することができます。
生産性を向上させる
業務フローの見直しやITツールの活用によって、生産性を向上させることも有効な手段です。生産性が向上すれば、従業員一人がこなせる業務量が増え、人手不足の解消につながるでしょう。
また生産性の向上は、労働環境の改善にもつながります。売上の増加にもつなげることができれば、従業員のモチベーションアップにもつながり、定着率の改善にもつながることもあります。
経理部門の人手不足を解消する方法
経理部門は、専門的なスキルが求められるため、慢性的に人手不足になりやすい職種です。また属人化しやすい業務も多いため、経験の長い従業員がいきなり退職をすると、急に業務が回らなくなるといった課題もあります。
ここでは、経理部門の人手不足を解消する方法を3つご紹介します。
ITツールを活用しデジタル化を推進する
経理業務は、請求書の処理や経費の管理など複雑で非効率な業務が多く存在します。人手を必要とするだけでなく、人的ミスが起こりやすく、属人化しやすいという課題もあります。ITツールの活用などによってデジタル化を推進することができれば、これまで人力で行っていた処理を自動化できるので業務効率が上がり、ミスも減らすことができます。また業務を担当できる人が増えるので、属人化の解消にもつながります。
ペーパーレス化を推進する
経理業務は請求書や領収書などの紙を扱うことが多く、社内承認を回す際も紙ベースで行われます。これも業務が非効率になりやすい要因であり、また出社が必要なためテレワークが浸透しない原因にもなっています。
ツールの導入などによって請求書の発行・受領をオンラインで行うといったペーパーレス化が可能になれば、業務の効率化につながり人手不足の解消につながります。さらに経理部門もテレワークが可能になるため、人材も採用しやすくなるでしょう。
アウトソーシングを活用する
経理作業は専門的な知識を要するため、より適切な人材の確保が難しい場合が多いです。ノンコア業務を中心にアウトソーシングを上手に活用すれば、人手不足を解消できます。また、それによって空いたリソースを、戦略を練るための時間や外部とのコミュニケーションなど、より売上につながる業務に割くことができるようになります。
一方で業務をアウトソーシングすると、ノウハウが社内に蓄積されないデメリットもあるので、マニュアルなどは社内にも共有してもらうなどの工夫も必要です。
請求業務をまるっと代行するPaidとは
「Paid(ペイド)」は、請求書の発行から代金回収まで、経理業務の中でも煩雑で時間もかかる請求業務をすべて代行するサービスです。請求データを登録するだけで請求業務が完了し、また未回収が発生した場合も代金を100%保証するので、売掛金の管理も不要になります。
関連記事:3人は必要な経理業務が1人で対応可能!決算スケジュールも短縮できています~株式会社Saleshub
まとめ
現在、多くの業種で人手不足が問題となっています。人口減少や少子高齢化により、労働力の確保が今後も難しくなるでしょう。
人手不足を解消する方法として、
- 労働条件を改善する
- 外国人労働者を雇用する
- アウトソージングを活用する
- 生産性を向上させる
といった方法があります。これらの方法を参考に自社で活用できる施策を考えてみてください。