オーソリとは?カード決済ルール見直しと2026年のEC対応
「商品を発送しようとしたら、カードの決済枠がいつの間にか無効になっていた」「予約販売や受注生産で、いつ代金を確定できるのか読みにくい」――。BtoBのEC取引でカード決済を扱っていると、こうした決済のタイミングに悩む場面があります。
その背景にあるのが、カード決済の「オーソリ(仮売上)」という仕組みです。近年、このオーソリと売上処理について国際カードブランドがルールを見直しており、日本の決済代行各社でも2026年にかけて、その運用変更が順次反映されています。これまで比較的ゆるやかに扱えていた部分に手数料などのリスクが伴うようになり、特に海外発行カードはオーソリの有効期限が大きく短くなります。
本記事では、オーソリの基礎から、2026年にかけて何が変わるのか、影響を受けやすい事業者、売上を逃さないための対応策、そしてBtoB取引での選択肢までを整理して解説します。

目次
オーソリ(仮売上)とは?
オーソリとは、カード決済の際に、商品代金分の利用枠を一時的に確保しておく処理です。英語の Authorization(承認・与信)が語源で、「仮売上」や「与信」と呼ばれることもあります。
大切なのは、この時点ではまだ請求が発生していないという点です。あくまで「この金額を後で請求します」と、枠を仮に押さえているにすぎません。
オーソリと売上確定(実売上)の2段階
カード決済は、大きく次の2段階で進みます。
- オーソリ(仮売上):利用枠を確保する段階。請求はまだ発生しない。
- 売上確定(実売上・キャプチャ):実際に請求を確定させる段階。多くの場合、商品の発送後やサービス提供後に行う。
売上確定をして初めて、その取引の代金が確定します。発送のタイミングで売上確定する運用が一般的なので、発送までに日数がかかるほど、オーソリから売上確定までの間隔は長くなります。

オーソリには「有効期限」がある
オーソリで確保した枠には、有効期限があります。期限を過ぎて売上確定ができないと、確保した枠は自動的に取り消され、消えてしまいます。発送のタイミングを逃すと、売上を取りこぼしてしまうということです。
この有効期限は、これまで比較的長く設定できました。一般的な目安は最大30日程度ですが、決済代行によっては海外発行カードを含めて30〜60日まで指定でき、おおむねリクエストどおりの期限が確保されていました。
オーソリ・売上処理のルールが厳格化|日本では2026年に反映が進む
国際カードブランド(Visa・Mastercard)は、オーソリと売上処理の整合性を高めるため、認証から売上計上までの時間枠やペナルティに関するルールを見直してきました(Visaは2024年に時間枠を再整理)。この見直しを受けて、日本の決済代行各社では2026年にかけて、オーソリ期限や実売上処理の運用変更が順次反映されています。EC事業者に関係が深いのは、次の2点です。
① オーソリと売上の不整合が手数料・チャージバックの対象になりうる
ひとつは、オーソリと売上が正しく対応していない取引へのペナルティです。Visaの「Processing Integrity Fee」(Misuse of Authorization など)、Mastercardの「Transaction Processing Excellence(TPE)」といったプログラムでは、オーソリを取得したのに期限内に売上確定や取消が行われない、オーソリ金額と売上金額が一致しない、といった不備が手数料やチャージバックの対象になりえます。これまでエラーにならず通っていた処理も、見直しの対象になりつつあります。
② 海外発行カードは、オーソリ期限の短縮に注意が必要
もうひとつは、海外発行カードのオーソリ有効期限の短縮です。これまで30〜60日まで取得できていた海外発行カードの期限が、決済代行の2026年対応により、7日程度、システム上の都合でさらに短い日数に設定されるケースもあります。期限を超えて売上確定をすると、オーソリと売上が結びつかず、売上を確定できなかったり、「オーソリ未取得」を理由にチャージバック(売上の取り消し)の対象になったりすることがあります。
国内発行カードについても、ブランド規定・取引の種類・決済代行の実装によって、期限内に売上確定する運用がこれまで以上に求められます。実務上は、25日前後など、従来より短い期限が案内されることもあります。
| カードの発行 | 従来 | 2026年〜の実務上の目安 |
|---|---|---|
| 海外発行カード | 30〜60日まで指定可 | 7日程度、またはそれより短い |
| 国内発行カード | 30日程度 | 種別・決済代行により異なる(25日前後など短い場合も) |
※ 上表は実務上の目安です。実際の期限はブランド規定・取引の種類(事前/確定オーソリ等)・決済代行の実装によって異なり、伝送日数を見込んで上限より短く設定されることもあります。正確な期限は、利用中の決済代行の案内で必ずご確認ください。
影響を受けやすい事業者と、起こりうる問題
今回の厳格化で特に影響を受けやすいのは、次のような事業者です。
- 発送までに日数がかかる業態:予約販売、受注生産、ハンドメイド品、BtoBの個別受注品など。オーソリから売上確定までの期間が長く、期限を超過しやすい。
- 越境EC・訪日客向けの販売:海外発行カードの比率が高く、7日への短縮を直接受けやすい。
- 分割・部分的な売上を行っている事業者:オーソリ金額と売上金額の不一致がペナルティの対象になりうる。
起こりうる問題としては、発送前にオーソリが切れて売上確定できない、期限切れを防ぐための再オーソリ(与信の取り直し)の手間が増える、不整合な取引に手数料やチャージバックが発生する、といったことが挙げられます。

ルール厳格化に備えるための対応策
- 売上確定のタイミングを見直す:期限内に売上確定できるよう、出荷・確定のフローを整える。
- オーソリと売上の金額・件数を合わせる:分割売上や部分売上を行っている場合は、金額を一致させたオーソリの取り直しなど、運用を見直す。
- 再オーソリの仕組みと決済代行の案内を確認する:期限切れ前に与信を取り直す処理に対応しているか、利用中の決済代行のルール変更の案内とあわせて確認する。
- BtoB取引なら、カード以外の決済手段も検討する:企業間の取引なら、そもそもカードのオーソリ管理が不要な「請求書払い」という選択肢がある。
BtoB取引なら「請求書払い」という選択肢も
ここまではカード決済の話でした。ただ、企業間(BtoB)の取引であれば、カードのオーソリ管理に悩まずに済む方法があります。それが「請求書払い(掛け払い)」です。
請求書払いはカード決済ではないため、オーソリの有効期限や再オーソリ、金額の不整合といった、カード特有の運用負担やペナルティがそもそも発生しません。発送までに時間がかかる取引でも、期限切れで売上を取りこぼす心配がない、というわけです。
請求業務をまるごと任せられる「Paid」
そうした請求書払いを支えるサービスのひとつが、BtoB後払い決済「Paid」です。請求書払いで発生する請求業務をまとめて代行し、業種や取引形態を問わず幅広い企業に導入されています。

- 未回収リスクがゼロに:未入金の場合も代金を100%保証
- 与信審査もすべて代行:初回取引時に企業単位で与信を行い、反社チェックを含む審査を実施
- 電話での督促にも対応:未払い発生時はメールだけでなく電話でも督促
カード決済のルール変更に振り回されず、BtoBの取引と代金回収を仕組みで安定させたい会社に向いたサービスです。対応に追われる前に、請求書払いという選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。
